1年以内に人工透析が必要になる――。 静岡県の男性(67)は2014年、かかりつけ医に告げられた。腎臓の難病による慢性腎不全だった。 1回4時間あまりかかる透析に週3回通う生活への不安。根本的な治療は移植しかないが、ドナー(臓器提供者)の少ない日本で、待機期間は平均15年近い。何とかならないか。思わずネット検索した。 すると、海外で臓器移植を受ける手助けをするというNPOのサイトを見つけた。後日、事務所を訪ねると、担当者に言われた。 「中国へ行きましょう」 手術費や滞在費などすべて込みで約1700万円。男性は同年12月、担当者に伴われて中国に渡った。ドナーが現れるまでホテルで40日待ち、移植で実績があるという天津の大病院で15年1月に移植を受けた。 帰国後、経過を診てもらおうと浜松医科大学病院を訪れると、診療してもらえなかった。「臓器売買の絡むような腎移植をした患者の診療は行わない」という