2020年の新型コロナによる第一波以来、人工呼吸器、集中治療のベッド、集中治療のための人員など、救命のために不可欠な医療資源が枯渇した場合についての国民レベルでの議論の材料を提供するために、当院が中心となって進めてきた調査プロジェクトの結果がCHEST誌に掲載されました。 「命の選別」という言葉がマスコミ上で使われていますが、例えば人工呼吸器が枯渇した場合に現場の医療従事者はどの様な判断をすれば良いのでしょうか?判断をしないこと自体が一つの判断となり、その結果と責任が医療従事者に降りかかってきます。例えばコロナに関わらず何らかの理由による呼吸不全で18歳の患者が人工呼吸器なしでは死亡してしまう状況で、隣のベッドに人工呼吸器による治療を継続しているにも関わらず救命出来る可能性が極めて低い85歳の患者さんがいたとします。「命は誰にとっても平等」、「人工呼吸器を止めることは殺人である」という価値