新型インフルエンザの発生がメキシコなど3か国で確認されたのを受け、政府が全閣僚で構成する緊急対策本部を設置してから、28日で1年となった。流行がほぼ終息したとされる3月末までの国内感染者は2068万人、死者は先進国中最低水準の198人に抑えられたが、国の課題も浮き彫りになった。 国民パニック 政府の情報発信稚拙 昨年5月、新型インフルエンザ感染者が出た大阪府内の高校では、職員がタクシーの乗車拒否にあい、制服のクリーニングまで断られた。“パニック”の原因は何だったのか。 「事実と対策を科学的に責任を持って語る人がいなかった」。厚生労働省が3月に設けた新型インフルエンザ対策総括会議。広報をテーマとした議論では、政府の情報発信が稚拙だったとの批判が出席者から相次いだ。 昨春来の混乱を「脅威と集団パニック」の観点から検証している重村淳・防衛医大講師は「政府やマスコミが冷静な対応をと呼びかけても、担