「正しく怖がる」なんてことが言われる。原発事故の放射線リスクを正しく知って正しく怖がりましょう、と。 でも、この表現は問題だという指摘がある。 岩波書店の『科学』1月号「リスク・コミュニケーションのあり方」で吉川肇子は、次のように記す。 “問題になるのは、(放射線)リスクについて、人々が合意しないのは、適切な科学的知識を欠いているからであるという「欠如モデル(deficit model)」が含意されているからである。「正しい」とか「正確な」という表現は、あたかもこの問題に対して合意された正解があるように錯覚させる。” ところが、まあ、現状で正解が得られているとはいいがたい。情報を集め、議論を積み重ねていくしかないのだが、“情報の正しさに固執することは、情報提供を萎縮させることにつながっている”。 また「風評被害」や「パニック」という言葉が乱用されることにも疑問を呈する。 風評被害があるので