佐渡には今、100羽を超えるトキが里山に生息し空を舞っている。トキの野生復帰に向けた放鳥は平成20年(2008)から始まったが、JA佐渡ではこれを機に「人とトキの共生する島をめざす農業」を地域農業ビジョンの柱として事業と運動を展開してきた。このビジョンではトキが生息できる環境のための「生物多様性農業」(生きものを育む農法)が運動の柱ではあるが、単にそれにとどまらない。"多様性"や"共生"をキーワードにして、多様な担い手づくりや、生産者と消費者との積極的な交流による地域づくりも柱にしていることが重要だ。まさに"農業と地域に全力を尽くす農業協同組合"をめざしてきたといえる。持続可能な農業と地域づくりをめざすJA佐渡を訪ねた。 「多様な価値」を見直して ◆気象変動に強い米づくりを 日本海を寒波が襲った12月半ば、佐渡中央部の穀倉地帯、国仲平野も雪原と化していた。雪の下は佐渡米の6割が作付けされて