2008年から2011年にかけ、パリ日本文化会館を皮切りにブダペスト(ハンガリー)、エッセン(ドイツ)、ワルシャワ(ポーランド)、サンテチエンヌ(フランス)、ソウル(韓国)、5か国6都市を巡回した「WA - 現代日本のデザインと調和の精神」展。日本が誇るプロダクトデザインとその下地になった伝統文化を体系的に紹介する本展は、各国で大きな反響を呼びました。日本のデザインには、伝統技能や地域工芸にあらためて注目するものや、生産者と消費者のコミュニケーションを誘発するしくみを備えているものが数多くあります。そこには物質的な豊かさだけを求めるのではない、新たな生産と消費のあり方が隠されているのかもしれません。現在武蔵野美術大学美術館で開催中の帰国展にあわせて行われた本鼎談では、「WA」展のキュレーターのひとりである川上典李子氏、長年にわたり地場産業振興プロジェクトに取り組むデザイナー安次富隆氏、欧州