最近のマスメディア批判に、「物語を作る」というものがある。科学報道ひとつとっても、その研究実績ではなく研究者の人物像やその背景にある物語を報道する。実際には研究実績も報道されてて、そちらはあまり大きな話題になりにくいだけなのだけれども。 そういう批判に対して、違和感はあった。もちろん研究実績について語られる記事は重要な情報だし、その実績が人物像に左右されるのはよくない。野口英世がどんだけ大酒飲みの金にだらしない男であろうとも、彼の実績は実績であり偉人なのである。 だが物語性を否定する気にはなれなかった。どんな人にもその人なりの物語がある。その物語を伝えることに価値がないとは思わない。 ちょうど、こんな記事が出ていた。 治らない病気を診ることが医学の神髄だ――人はナラティブによって生きている たいへんおもしろい記事で、WHOの健康の定義に異を唱える医師の新たな健康への取り組みの話である。 で