ブックマーク / www.newsweekjapan.jp/column (137)

  • ISIS事件で問われるソーシャルメディア・リテラシー

    人人質事件で日にも急に身近な存在となったISIS(自称イスラム国、別名ISIL)は、以前からメディアの巧みな利用方法で注目を集めてきた。 最近の一連の流れを追っても、ビデオをリリースするタイミングやその内容は、われわれの関心を縛り付け、関心と我慢がピークに達した頃に、想像を超えた残忍さで落胆をプロデュースするというものだった。 ビデオに伴うメッセージの言葉遣いも、恐怖心を最大限に喚起するよう並べられているのがわかる。 安倍晋三首相に向けたメッセージはこうだった。「アベよ、勝ち目のない闘いに加わるなどという、無謀な決断を下した報いとして、このナイフはケンジを殺りくするだけでなく、さらに歩みを続け、どこであれお前の国の人間が見受けられた場所に屍を残すだろう。日の悪夢の幕が切って落とされた」 単なる声明ではなく、小説の一節としてでも出てきそうなほど濃度の高い言い回しである。もちろん、われ

    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2015/02/05
    事件のたびに学習し、判断力を養わなければ。
  • 人質殺害事件に寄せて

    人人質事件は、残念な結果になった。 昨年六月に登場して以来、その残虐さで国際社会を震撼させてきた「イスラーム国」が、いかに深刻な問題かを、日は遅ればせながら実感したことになる。 この問題について、筆者はあまり語ってこなかった。少ない情報で、しかも人命がかかっていることで、あれこれ語ることがいいとは思えなかったからだ。この事件に関する日の報道を見ていると、解決に逆効果をもたらしたのではないかと懸念する。 そもそも、国内の普通の誘拐事件だったら、ここまで情報や憶測を垂れ流しにしただろうか。こうすればよい、ああすればよい、といったコメントが、いちいち日側の手の内、対応を犯人に晒しているとの自覚はなかったのだろうか。 犯人が海外だから、日国内で交わされる議論は聞こえないとでも思っているのかもしれない。だが、ネットに掲載される情報は日語でも簡単に自動翻訳にかけられるし、テレビ画像でもY

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    SasakiTakahiro 2015/02/02
    イスラーム国を含めたさまざまな暴力の被害者である現地のイスラーム教徒の苦しみ。
  • メッセージを暗号化する「超プライベート携帯」発売へ

    「超プライベート携帯」と呼ばれるスマートフォンが近く発売になる。7月からネット上で販売される予定だ。 この電話「ブラックフォン」を開発したのは、スペインのハードウエア会社、ギークフォンと、暗号技術を得意とするスイスの会社、サイレント・サークルのジョイント・ベンチャー。 超プライベートとされるのは、通信会社や企業、そして政府がユーザーのデータや行動を諜報するのを防ぐからだ。 元CIA職員のエドワード・スノーデンが、米国家安全保障局(NSA)が一般市民の通話記録やインターネット上の行動や電子メールの内容を盗み見ていたことを明らかにした時のショックは、今でもアメリカ人の心に深い傷として残っている。NSA問題はたまたまアメリカ政府のことだったが、他国の政府も似たような活動を行っているだろうことも容易に想像できる。 またプライベートなデータを収集するのは政府だけではなく、いつも使っているインターネッ

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    SasakiTakahiro 2014/06/28
    我々がどんなに気をつけても、現在のスマートフォンのテクノロジーは刻々と情報を送り続けている。
  • 日本経済の成長には「ホリエモン」が必要だ

    安倍政権の「成長戦略」の素案が、産業競争力会議でまとめられた。法人税率の引き下げやホワイトカラーの勤務時間の規制廃止などは評価できるが、効果は限定的だ。「岩盤規制」はほとんど手つかずで、株式市場で話題になったのは、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の株の買い上げぐらいだ。 そもそも成長戦略とは何だろうか。誤解している人が多いが、これは単に成長率を引き上げる政策ではない。GDP(国内総生産)を上げるだけなら、公共事業を増やせばいい。ここ1年の成長のほとんどは政府投資によるもので、民間の成長力を示す潜在成長率は、日銀の調査によるとほぼゼロである。これが成長率の上限を決めるので、これがゼロになると、いくら公共事業で嵩上げしても、中長期にはゼロ成長に戻ってしまう。 日銀の「異次元緩和」は株式市場を錯覚させて株価の過小評価を是正する効果はあったが、しょせん1年足らずの線香花火だった。完全失業

    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2014/06/19
    せめて「外圧」でホリエモンが出てくることを期待したい。
  • イラクはどこまで解体されるか

    6月10日に北部モースルが陥落して以降、イラク分裂の危機が現実性を持って語られるようになった。「イラクとシャームのイスラーム国」(ISIS)勢力は、北はモースルからティクリートまでを、西はファッルージャからバグダードに向かうルートを制圧し、さらに東方のディヤーラ県まで勢力を拡大している。ISISの制圧地域が地理的に「スンナ派地帯」だからというので、「イラクの宗派別分裂」が言われるのだが、事態はより深刻だ。なぜなら、分裂は地理上の問題ではなく、現政府が一つのまとまった国家領域としてのイラクを守ろう、という意思と能力がないことが、露呈されたからだ。 モースルが陥落した際に、これを守るべきイラク国軍はさっさと逃げたと、前回のコラムで述べた。イラク国軍や警察は、イラク国民をではなく、自らの宗派や民族を守ることにばかり、専念しているのだ。それだけではない。マーリキー首相をはじめとして、政府要人たちの

    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2014/06/15
    イラク戦争前のフセイン政権時代に戻されるのだろうか。イラン・イラク戦争が行われていた80年代か。それとも――
  • 人口減少時代には「メガシティ」への人口集中が必要だ

    の人口はすでに減り始めており、あと30年で3000万人以上減って1億人を割る見通しだ。これに対して「少子化対策」や移民の受け入れなどの話が出ているが、当に人口減少は困ったことなのだろうか。 個人の豊かさの基準はGDP(国内総生産)ではなく、一人あたりの所得である。日経済はこれからゼロ成長に近づくが、一人あたりGDPは今後も毎年1%ぐらい増えると見込まれるので、労働生産性を上げれば生活水準は維持できる。 しかし人口が減ると、いろいろな格差が拡大する。特に重要なのは、社会保障のゆがみによる世代間格差である。生産年齢人口は毎年1%近く減るので、高齢者の比率が増え、彼らの年金を支える現役世代の負担が重くなる。 鈴木亘氏(学習院大学)の推計によれば、今の社会保障制度のままだと2025年に国民負担率(税+社会保険料)は50%を超え、2050年には70%に達する。国民所得(純所得)が年率1%で成

    人口減少時代には「メガシティ」への人口集中が必要だ
    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2014/05/22
    誰もが平等に豊かになる社会は維持できないということ。
  • ものづくり信仰が日本企業をダメにする

    今週のコラムニスト:レジス・アルノー 〔4月29日/5月6日号掲載〕 ものづくり。日でこの言葉を聞かない日はない。テレビでも新聞でもラジオでも、日人は何かを職人芸的につくり上げる自分たちの能力を自賛する。 当然かもしれない。弁当箱から名刺入れ、半導体に自動車まで、日人は優れたものを異常に低い欠陥率で大量生産する驚くべき能力があるようだ(何百人もの踊り手が一糸乱れずに踊る阿波踊りは、その能力の文化面での表れだ)。 こうした日の工業製品の長所は世界中で認められていて、日ブランドの信頼性を高めている。特に安全性が重視される製品(自動車や、もしかすると次世代の発電所や飛行機)ではそうだろう。 「中国では日製エレベーターがよく使われている。中国人は日製品を信頼していて、日のエレベーターなら命を預けていいと思っている」と、香港の投資会社CLSAのアナリスト、クリスチャン・ディンウディー

    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2014/05/21
    大学のマーケティングの授業で、売るのが最も難しい商品の1つはデオドラントだと習った。
  • 21世紀にマルクスはよみがえるか

    アメリカで、マルクスがブームになっている。『21世紀の資論』と題する700ページ近い専門書がアマゾン・ドットコムのベストセラー第1位になり、フランス人の著者トマ・ピケティがワシントンにやって来ると、ロック・スター並みの聴衆が集まった。 保守派は「マルクスのがベストセラーになるのは、アメリカ歴史はじまって以来の危機だ」と警戒し、リベラル派の経済学者、ポール・クルーグマンは「ピケティは不平等の統一場理論を発見した」と絶賛した。それはこのがマルクスと同じく、世界で所得分配の不平等が拡大している事実を明らかにし、その原因が資主義にあると主張しているからだ。 1970年から2010年までにアメリカの賃金の中央値(メディアン)はほとんど同じだが、上位1%の人々の所得は165%増え、GDP(国内総生産)の20%を超えた。このような格差の拡大は一時的な問題だと思われ、戦後ずっと多くの国で所得分

    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2014/05/08
    今アメリカで、マルクスがブームになっている。
  • シリコンバレーの意外な差別カルチャー

    外からはイノベーションと富を生み出す稀な土地と見られがちなシリコンバレーだが、実はいろいろな意味で二極化してきている。 ひとつは、よく知られた「持てる者」と「持たざる者」のギャップ。とくにサンフランシスコ市内では、テクノロジー会社の高給取りが大挙して引っ越してきたために、家賃が急上昇して店員や教師、警察官などごく普通の職業の人々が住みにくくなっている。シリコンバレーでも住宅の価格は上がっており、初めてのマイホームを買おうとしても、中間値の住宅が実際に買える人は希望者の半分程度だという。残りは、すでに持っている家を売って買う場合が多い。シリコンバレーでゼロから始めようとするのは難しくなっているのだ。 シリコンバレーのエンジニアの給料は平均10万ドルと言われる。アメリカの世帯あたり所得の中間値は5万3000ドルなので、かなり高い。だが、これも機会によって一様ではない。フェイスブックに乞われて転

    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2014/04/13
    男女間の確執もけっこう陰湿。
  • 日本は「貿易立国」を卒業したが、安倍政権はそれを知らない

    2012年末に安倍政権が誕生したとき、「日銀が輪転機をぐるぐる回してお札を印刷すればデフレを脱却できる」という安倍首相の話がもてはやされ、浜田宏一氏(内閣官房参与)は「日銀がエルピーダをつぶした」と断言した。半導体大手のエルピーダメモリの経営が破綻したのは、日銀の金融政策による円高が原因だというのだ。 日銀の黒田総裁が昨年4月に「2年で2倍」の金融政策を打ち出した目的も、インフレで円安にして輸出を増やし、景気を回復させることだった。それから1年たち、1ドル=100円を超える円安水準になったが、どうなっただろうか。次の図は、財務省の発表した2013年までの国際収支(速報)である。 貿易収支の赤字は大幅に拡大し、昨年は(サービス収支を含めて)過去最大の12.2兆円となった。これに所得収支(海外からの配当・金利)などを加えた経常収支の黒字も3.3兆円と、比較可能な1985年以降で最低だ。浜田理論

    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2014/03/06
    物価は経済の体温だから、体が暖まるのはいいが、それで病気を直すことはできない。
  • 人々はスマホに自分の運命を賭け始めた?

    今この瞬間、中国で暮らしているわけではない人に、中国の生活においてスマートフォンがどれだけ重要であるかを言葉で説明して理解してもらうのは難しいかもしれない。 もちろん、「日だってスマホなんてとっくに普及しているし、必需品になっている人は多いよ!」と思うだろう。でも、日で暮らしているわけではないわたしが言ってもこれまた理解してもらえないだろうが、北京や上海で暮らす人のスマホ依存率はたぶん、東京を超えている。 わたしも昨年の旧正月前に初めてのスマホを買ってから、ニュースや知り合いのジャーナリストが推薦する情報などをスマホで受信するようになって、原稿テーマの情報源はスマホからが5割、ツイッターやフェイスブックなどSNSが3割、購読しているメディアのニュースレターが2割になっている。ツイッターとスマホが別なのは、中国ではツイッターへのアクセスがブロックされるためにその利用に「壁越え」用ソフトが

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    SasakiTakahiro 2014/02/25
    北京や上海で暮らす人のスマホ依存率はたぶん、東京を超えている。
  • 年寄り対決の都知事選

    今週のコラムニスト:レジス・アルノー 〔2月4日号掲載〕 今年の2~3月に相前後して行われる東京都知事選とパリ市長選。だが候補者の顔触れは対照的だ。 パリ市長選の有力候補2人は、どちらも切れ者で比較的若い世代の女性だ。社会党のアンヌ・イダルゴは54歳で、現職のパリ市第1助役。優雅でまじめで親しみやすい人物で、10年以上にわたりベルトラン・ドラノエ市長の下で働いてきたため、市政を知り尽くしている。 対抗馬で国民運動連合(UMP)が推すナタリー・コシウスコモリゼはまだ40歳。34歳の時に閣外相となり、37歳でエコロジー・持続的開発相、38歳で当時のサルコジ大統領の広報となった華麗な経歴の持ち主だ。 福島第一原発事故直後の2011年3月、当時エコロジー相だったコシウスコモリゼはサルコジと共に来日した。フランス大使館で行われたレセプションパーティーで、彼女を見た日政治記者は「あの若い美人はどな

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    SasakiTakahiro 2014/02/13
    パリ市長選の有力候補2人は、どちらも切れ者で比較的若い世代の女性。
  • 大人になりたくない!?日本人と年齢の不思議

    今週のコラムニスト:スティーブン・ウォルシュ [1月28日号掲載] 日人は年齢に特別な関心があるらしい──初めて日人と知り合ったとき、そんな印象を感じる欧米人は少なくない。欧米では、相手に年齢を聞くのは時として失礼な行為と見なされるし、そもそも職業や出身地、興味の対象、価値観などと違って、どうでもいいことだと思われている。だから、年齢を重視する日人がよく理解できない。 とはいえ、考えてみれば年齢を重視する日の慣習は実に理にかなっている。欧米では普通、会社での地位は年齢ではなく能力や実績に基づいて決まる。しかしこうした評価は相対的なものであり、どうにでも解釈できる。そのため意見の相違や対立、混乱が生じかねない。 一方、日では年齢はその人の地位を知る重要な手掛かりになる。年齢は誰も異議を唱えられない客観的データだ。それに基づいて地位を定めれば、欧米のやり方で生じるような対立を避けられ

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    SasakiTakahiro 2014/02/05
    18歳になっても投票できない国はわずか22カ国。日本もその1つ。
  • 雑踏にもまれて知った東京の捨て難い魅力

    今週のコラムニスト:マイケル・プロンコ 〔1月21日号掲載〕 あるときランチタイムに四谷の中華料理店に入ると、店内はいっぱいだった。相席で何とか腰を落ち着け注文をした。ところが、また1人客が私たちのテーブルにやって来たので、その客の座る場所を空けようと奥に詰めたときにうっかりしょうゆの瓶をひっくり返してしまった。 他の客たちは慌てて紙ナプキンでしょうゆを拭き取ろうとした。店員もおしぼりを手に飛んできた。彼女がテーブルを拭けるよう私がトレイを持ち上げると、何と今度はトレイに載っていたかき玉汁をこぼしてしまった。店員は新しいおしぼりを取りに走り、私は目の前の惨事を収拾しようと焦りつつ、平謝りに謝った。 相席の客たちは怒るどころか気の毒そうな顔をした。「あなたのせいじゃないですよ。こんなに狭くちゃねえ」。店員も申し訳なさそうに何度も謝った。もちろん、彼らは私がガイジンだから大目に見てくれたのだ。

    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2014/01/28
    こんなに狭くちゃねえ。
  • 「ネット・ニュートラリティー」はなぜ万人にとって大問題なのか

    ここ10数年にわたって、浮かんでは消え、浮かんでは消えてきた「ネット・ニュトラリティー」、あるいは「ネット中立性」の話題が、最近再浮上した。 通信会社大手のベライゾンが連邦通信委員会(FCC)を相手に起こしていた裁判で、ワシントンの連邦巡回訴訟裁判所が1月14日、ブロードバンド回線を提供する通信業者にネット中立性を適用するのはFCCの権限を逸脱しているという判断を下したのだ。 のっけからややこしい話だが、そもそもこのわかりにくさがネット中立性が抱える問題である。したがって、普通の人々はよく理解することができない。そもそも自分に何の関係があるのかさえわからない。 しかし、インターネットのユーザーとしては、ネットのトラフィックを管理しているのは誰なのか、牛耳ろうとするのは誰なのかを理解するために、ある程度は意識的に追っておいた方がよい内容だ。場合によっては迷惑も降り掛かってくることなのである。

    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2014/01/25
    ネット中立問題は、まだ始まったばかり。
  • 「地域主権」が国家を破壊する

    民主党は2009年の総選挙のマニフェストで「地域主権」を掲げたが、これは名辞矛盾である。主権とは「他の意思に支配されない国家統治の権力」(『広辞苑』)で、来は絶対君主の権力を示す。具体的には、軍事力や警察力や通貨発行権である。「主権在民」などというが、国民には選挙権・被選挙権しかない。まして地方自治体に主権があるはずがない。 ところが最近、自治体が国家を超える「主権」を主張するケースが目立つ。沖縄県の名護市長選挙では19日、「辺野古の海にも陸にも基地をつくらせない」と公約していた稲嶺市長が再選されたが、辺野古への米軍基地移転ついては日米両国と沖縄県が合意したので、名護市がそれを阻止することはできない。沖縄防衛局は21日、基地移転のための埋め立て工事の入札を開始した。 他方、新潟県の泉田知事は東京電力の広瀬社長と会談し、東電の再建計画について「モラルハザードだ」などと批判して、柏崎刈羽原発

    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2014/01/22
    国民には選挙権・被選挙権しかない。まして地方自治体に主権があるはずがない。
  • 東日本大震災と戦争被害をつなぐ

    東日大震災で74人以上の生徒が津波に呑まれた、石巻市の大川小学校の惨事について、19日、検証委員会の報告が発表された。ちょうど1週間前、私を含めた国際政治を専門とする研究者たちは、その小学校跡を訪れたところだ。 なぜ、中東研究の私が被災地を視察するのか、疑問に思われるだろう。だが、震災も戦争も、当たり前の日常社会が根からひっくり返されてしまうという点でよく似ているし、災厄からの復興に際して直面する障害にも、いろいろな意味で共通点がある。 私たちは極寒のなか、大川小学校を訪れたのはほんの一時間程度だったが、崩壊した学校を前に遺族の話を聞くにつれて、情けなさでいっぱいになった。生徒たちは、地震直後に校庭に集められた後、51分の間なにも行動を起こせないまま、いよいよ津波が来るという時になってようやく移動を開始し、ほとんどの生徒が波に呑まれたのだという。生徒のなかには、校庭に隣接する山に逃げよ

    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2014/01/22
    災厄からの復興に際して直面する障害にも、いろいろな意味で共通点がある。
  • ケータイ至上主義が日本文化を壊す

    今週のコラムニスト:レジス・アルノー 〔12月10日号掲載〕 マナーの良さで知られる日人も、携帯電話の力には逆らえないようだ。東京で地下鉄に乗ったり、通りを歩いたりするときには、携帯の画面に見入っている人々の間をスキーの回転競技のようにすり抜けなくてはならない。ネオンが輝く街なかでも、人々は暗闇の中を探るような足取りで歩き、周りに注意を払わない。外の世界が名刺サイズに縮んでいる。 ある朝早く、私は若い女性が子供を自転車に乗せて保育園に送っていく間に、携帯にメッセージを打ち込んでいるのを目撃した。彼女にとって携帯は、子供や周囲の人々より大事なもののようだった。 誰しも電車の中で、他人の電話の会話を聴かされるという不快な経験をしたことがあるだろう。他人のリビングルームに突然連れ込まれたような気分になる瞬間だ。 こうした行動は将来に影響を及ぼす。生物学者によると、人体はライフスタイルの変化に適

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    SasakiTakahiro 2013/12/18
    文明は「私」と「公」の対立の上に成り立っている。
  • NHKは受信料をやめて「視聴料」にすればスマートTVになれる

    12月3日の毎日新聞は1面で、NHKが「テレビがなくても全世帯から受信料を徴収する義務化」を検討していると報じた。松会長が記者会見で否定したように、これは誤報だ。テレビ(受信機)を設置していない世帯から受信料を徴収するのは放送法違反である。 しかしこういう誤解が生じるのもやむをえない。NHKの受信料は、受信契約の義務はあるが、支払い義務がないというわかりにくい制度になっているからだ。受信料を払わない人に対する罰則もないため、今は不払いの人々には個別に民事訴訟を起こしている。 これは面倒なので、BBC(イギリス放送協会)のように支払いを義務化して罰則を設けるべきだという意見は今まで制度改革のたびに自民党から何度も出たが、NHKの執行部が踏み切れなかった。これにはNHKのお家の事情がからんでいる。 日放送協会は、戦前は国営で「大営発表」をラジオ放送して戦意昂揚に大きな役割を果たしたため、

    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2013/12/11
    NHKの受信料は、受信契約の義務はあるが、支払い義務がない。
  • 産むべきか産まざるべきか......一人っ子政策緩和がもたらすもの

    のメディアでは他の中国からの話題を排除してまで行われた、中国の三中全会(中国共産党中央委員会全体会議第3回会議)に関する報道。それが日の一般読者にとってどこまで大事なんだろう、と思ったのは、わたしだけじゃないはず。でも、伝統的な中国報道の現場では、やはりこうした中国共産党による「何とか会議」は外せないという意識は強く、普通の日人読者が読んでもよくわからないものがとても重視され続けている。 で、こちら中国でも、庶民の間では会議のことなどもうほとんど話題になっていない。唯一大きく注目されたのが一人っ子政策の緩和。経済体制や政治体制など結局は手が届かない話で、お上のやることを黙って受け入れるしかないが、我が家で子どもがもう1人産めるとなれば話は違う。文字通り「我が家の大事」いや「わが一族の大事」なのだから。 とはいえ、まだ実際の緩和が始まったわけではないが、三中全会の決定を受けて詳細が発

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    SasakiTakahiro 2013/12/03
    養老問題と、「2人目を産むべきか」で頭を悩ませる親たちの問題は根っこは同じ。