のび太と言えば、スポーツも勉強もうまく行かず、ドラえもんのひみつ道具に甘えるダメダメ少年……。ところが最近、のび太のような生き方が見直されているという。 「ツラいことがあっても前向きで明るく、楽天的で落ち込まない。先行きが見えない今の時代に、のび太的な生き方が求められているのだと思います」 そう語るのは、富山大学名誉教授の横山泰行氏。全1,345作のドラえもん作品を国会図書館などで調べ尽くし、1999年から8年間、自由参加型ゼミ「ドラえもんの世界」を開講。のび太の人物像を体系的に論じた「のび太メソッド」を提唱し、これを元に2004年に上梓した『「のび太」という生き方』(アスコム)が10万部を超えるロングセラーとなっている。今なぜ、のび太なのか。時代が求めるのび太像と、のび太的生き方の真髄を横山氏に聞いた。 ――著書を上梓されたのが04年。息の長い人気の理由はどこにあるのでしょう? 横山泰行