民事執行法81条に関する法定地上権で、最近、おもしろい判例が登場した。 事案を単純化すると、次のような事案である。 債権者が債務者所有の建物のみに仮差押えをかけた後、本執行に移行した事案で、仮差押えの登記がなされた時には建物とその敷地の所有者は同一であったが、本執行移行時には土地は贈与された後で、土地と建物の所有者が違っていたという事案である。この場合に民事執行法81条所定の法定地上権が成立するか否か、である。 民事執行法81条の法定地上権の成立要件は、土地と建物が債務者の所有に属する場合で、その土地または建物に差押えがなされ、競売により所有者を異にするに至ったことが必要である。 上記事案を愚直にこれに当てはめると、本執行時である差押えの登記時は、土地の所有者は債務者ではなくなっているので、法定地上権は成立しないという解釈もありえそうである。現実に、つい先日の判例の原審はそのように判断した