首都アテネから西へ車で約20分。青い海には陽光がまばゆく反射する。エーゲ海の島々に向かう客船が停泊する波止場を過ぎると、山積みになったコンテナや青色のクレーン設備、巨大貨物船が姿を現した。 「PCT(ピレウス・コンテナ・ターミナル)へようこそ」。そう記されたゲートの下をトラックが行き交う。PCTは中国海運最大手、中国遠洋運輸(COSCO)の傘下企業。ギリシャの海の玄関、ピレウス港の第2埠(ふ)頭(とう)を運営する。 「今のところ投資は成功だ」。PCT最高経営責任者の傅承求氏は胸を張る。事務所の壁には、胡錦濤国家主席が出席した署名式の写真が飾られていた。 水深は18メートルと深く、大型船の出入りに適する。古代ギリシャ時代に軍港が置かれたピレウスは、バルカン半島を通じ欧州大陸、黒海を抜け中央アジアにアクセスできる。地中海を挟んで対岸は北アフリカだ。 「極東と欧州を結ぶ懸け橋」(傅氏)という地に