『スラムダンク』でお馴染みの漫画家、井上雄彦氏が日本の伝統行事である「遷宮」行事を通じて人々が体験した、先祖または神から受け継いできた歴史を、筆絵とエッセイで解き明かした一冊だ。 また本書には、神宮司庁の河合真如広報室長、出雲大社の千家和比古権宮司、式年遷宮で総棟梁を務めた宮間熊男棟梁、建築家の藤森照信教授との対談も収められている。 絵描き(職人)だからか、著者の言葉は素朴であり、哲学的とか、精神論的にどうだこうだという話にはならずに、淡々と語られている。純化した文章を読み進めると、太古から日本人が共有してきたものを自分も宿しているのだと少しずつ知るようになる。ひとつひとつの言葉からというよりも、本書全体を通じてそうだと感じた。 2011年に刊行した前書『pepita』では、建築家アントニ・ガウディの人物像に井上雄彦氏が迫る内容だった。あとがきで著者は「何かを創るときの源は、まだ見ぬどこか
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