かつて世界の男子テニス界を席巻した「サーブアンドボレー」という“必勝パターン”が今、風前のともしびにある。世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)にしても、昨年、躍進を遂げた錦織圭にしても第1サーブを入れた後、ネット付近にダッシュしてボレーを華麗に決めるという戦法をあまり取らない。言い換えれば、高速サーブに頼らず、あらゆるショットを駆使することで世界の階段を上がってきたということになる。トッププロのプレースタイルの劇的な変化と進化はなぜ、起きたのか−。 ■マッケンローvsボルグ 1980年代、「サーブアンドボレー」の申し子といわれた「悪童」ジョン・マッケンロー(米国)。第2サーブでも果敢にネットダッシュを繰り返す一方、リターン側はパッシングショットでエースを狙うしかブレークチャンスはなかった。 80年、ウィンブルドン選手権決勝。ビョルン・ボルグ(スウェーデン)との死闘は、いま