親のストレス、子に遺伝=DNA変化介さず次世代に−ショウジョウバエで確認・理研 親のストレス、子に遺伝=DNA変化介さず次世代に−ショウジョウバエで確認・理研 ストレスによって生じた遺伝子の発現の変化が子どもにも遺伝することを、理化学研究所の研究チームがショウジョウバエを使った実験で確認し、24日付の米科学誌「セル」に発表した。 突然変異などDNA配列の変化が子孫に伝わる通常の遺伝と異なり、環境の変化など後天的な要素が子どもに遺伝するかどうかは、まだ解明されていない。研究成果はこうしたメカニズム解明の手掛かりになると期待される。 理研基幹研究所の石井俊輔主任研究員らは、ふ化前のショウジョウバエの卵に熱を加えてストレスを与えると、目が赤くなる変化に着目。通常はATF2と呼ばれる転写因子により、赤い色素を作る遺伝子の発現が抑制されているが、ストレスによってATF2が活性化すると、抑制が解除
多動症発生の仕組み解明=診断、新薬開発に期待−群馬大など 多動症発生の仕組み解明=診断、新薬開発に期待−群馬大など 行動を抑制できず、落ち着きのない状態になる多動症が発生する仕組みを、群馬大と独ゲーテ大の共同研究チームがマウスの実験で解明した。多動症の診断や症状を抑える薬の開発に役立つ成果と期待される。欧州分子生物学機構の専門誌(電子版)に発表した。 研究チームは、脳内のタンパク質「CIN85」に着目。正常なマウスでは、体を動かす情報を伝えるため、神経伝達物質ドーパミンが神経細胞の間でボールのように放たれる。神経細胞の表面にある受容体がグローブの役割を果たしてドーパミンを受け止めると情報が伝わり、体が動き始める。CIN85は、受容体を細胞内に引き込み分解することで、運動を抑制する機能を果たしている。 一方、CIN85をなくしたマウスでは、ドーパミンを受け止めた受容体が細胞表面にとどまる
受動喫煙で血圧上昇=住民調査で明らかに−東北大 受動喫煙で血圧上昇=住民調査で明らかに−東北大 受動喫煙を受けている女性は、受けていない女性より血圧が高いことが分かったと、東北大学大学院薬学研究科の今井潤教授のグループが24日までに発表した。喫煙は血圧を上げるとされるが、今井教授によると、受動喫煙と血圧上昇の関係が明らかになったのは初めてという。研究結果は学会誌に掲載される。 今井教授らは1986年以降、岩手県花巻市大迫町地区の住民に血圧測定器を配布し、起床後と就寝前に測定するよう依頼している。今回の研究は、98年6月に、同町の喫煙していない35歳以上の女性579人を対象に、自宅と職場での受動喫煙の有無と家庭で測定した血圧の関係を分析した。 その結果、血圧を下げる薬を服用している人を除いた474人中、自宅と職場の両方で受動喫煙を受けている人の平均最高血圧は116.8mmHgだったが、ど
ヒトへ侵入優先か、抗体防御か=新型インフルと季節性の違い解明−米チーム ヒトへ侵入優先か、抗体防御か=新型インフルと季節性の違い解明−米チーム 新型インフルエンザや1918年に大流行したスペイン風邪を、同じタイプの季節性インフルエンザと比べると、ウイルスの表面にあってヒト細胞への侵入に使うスパイク状のたんぱく質「ヘマグルチニン」の頭部2カ所に大きな違いがあることが分かった。新型などには糖鎖の「カバー」がなく、侵入しやすさを優先しているのに対し、季節性ウイルスは少なくとも1カ所にカバーを付けることで、ヒトの免疫抗体に邪魔されないよう、防御していた。 米国立衛生研究所(NIH)と疾病対策センター(CDC)の研究チームが26日までに、米医学誌サイエンス・トランスレーショナル・メディシン電子版に発表した。今後、このカバー部分を狙えば、ワクチンを効率良く開発できる可能性があるという。(2010/0
自閉症向け会話ソフトが人気=実体験踏まえ日本人主婦が開発−米 自閉症向け会話ソフトが人気=実体験踏まえ日本人主婦が開発−米 【シリコンバレー時事】先天性脳機能障害とされる自閉症の子供を持つ日本人主婦が開発した会話補助用ソフト「Voice4u(ボイス・フォー・ユー)」の売れ行きが好調だ。アップルの多機能型携帯電話機「iPhone(アイフォーン)」に取り込んで気軽に使えることから、昨秋の発売以来、販売数は前月比3割増のペースで推移。3月末現在では、日米や韓国、中国など13カ国に利用者が広がっている。 1989年に渡米した久保由美さんは、現在15歳の長男が1歳の時、自閉症であることが分かった。既存の会話補助用具は重く、使い勝手が悪い。そんなことから、アップルが2007年夏に発売したアイフォーンを見て、これを利用できないかとひらめいた。08年にスペクトラム社を当地で起業、現在は最高経営責任者(C
花粉症根治薬、8年後にも実用化=鳥居薬品と共同研究開始−理研 花粉症根治薬、8年後にも実用化=鳥居薬品と共同研究開始−理研 理化学研究所と日本たばこ産業(JT)グループの「鳥居薬品」(東京)は25日、理研が開発したスギ花粉症ワクチンの実用化に向けた共同研究を開始すると発表した。研究成果を臨床応用に生かすための仕組みを整備し、2012年に臨床試験を始め、18年の実用化を目指す。 このワクチンは、アレルギー反応の原因となるスギ花粉の主要な抗原たんぱく質2種類に、抗体反応を抑える化合物を遺伝工学的手法で融合させたもの。マウスの実験では効果が確認されており、花粉症シーズン前に摂取すれば、症状を引き起こさない初の根治薬として期待されている。 実用化には治験や生産など製薬会社の協力が必要だが、市場がほぼ国内に限定されることや、予想される薬価が低いことなどから、提携先を見つけることが難しかった。(2
ヒトへ侵入優先か、抗体防御か=新型インフルと季節性の違い解明−米チーム ヒトへ侵入優先か、抗体防御か=新型インフルと季節性の違い解明−米チーム 新型インフルエンザや1918年に大流行したスペイン風邪を、同じタイプの季節性インフルエンザと比べると、ウイルスの表面にあってヒト細胞への侵入に使うスパイク状のたんぱく質「ヘマグルチニン」の頭部2カ所に大きな違いがあることが分かった。新型などには糖鎖の「カバー」がなく、侵入しやすさを優先しているのに対し、季節性ウイルスは少なくとも1カ所にカバーを付けることで、ヒトの免疫抗体に邪魔されないよう、防御していた。 米国立衛生研究所(NIH)と疾病対策センター(CDC)の研究チームが26日までに、米医学誌サイエンス・トランスレーショナル・メディシン電子版に発表した。今後、このカバー部分を狙えば、ワクチンを効率良く開発できる可能性があるという。(2010/0
DNA解読、高速化に道=電流で塩基識別−大阪大 DNA解読、高速化に道=電流で塩基識別−大阪大 わずか1ナノメートル(ナノは10億分の1)のすき間にDNA塩基分子を通し、電気を流して塩基を識別する実験に大阪大の川合知二教授らのグループが成功した。この技術を応用すれば、現在3カ月かかるヒトの全遺伝情報(ゲノム)が1日で解読できるという。21日付の英科学誌「ネイチャー・ナノテクノロジー」電子版で発表した。 DNAは二重のらせん構造で、アデニン、グアニン、シトシン、チミンの塩基が連なっている。塩基の並び方が遺伝情報を表すが、1990年代にヒトゲノムを解読した際は8年で300億円掛かった。現在は3カ月で10億円、数年後に登場する次世代DNAシーケンサー(解析装置)でも2カ月で1000万円掛かるとされる。 研究グループは、ナノポアと呼ばれる穴の入り口に1ナノのすき間を空けた電極を置き、DNA塩基
グラクソの糖尿病薬、販売中止も=政府内部文書で指摘−米紙 グラクソの糖尿病薬、販売中止も=政府内部文書で指摘−米紙 【ニューヨーク時事】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は20日、同紙が入手した米食品医薬品局(FDA)の内部報告書で、英医薬品大手グラクソ・スミスクラインの2型糖尿病治療薬「アバンディア」が心臓発作を引き起こす恐れが高いため、販売中止が勧告されていると報じた。(2010/02/22-07:03)
iPS細胞で新治療法に期待=遺伝子異常の再生不良性貧血−国際チーム iPS細胞で新治療法に期待=遺伝子異常の再生不良性貧血−国際チーム 細胞の染色体末端部「テロメア」が異常に早く短くなるのが原因で起きるまれな再生不良性貧血の患者から、皮膚細胞を採取して人工多能性幹(iPS)細胞を作ったところ、テロメアの長さが回復した。米ハーバード大などの国際研究チームが発見し、英科学誌ネイチャー電子版に18日発表した。 この疾患は「ディスケラトーシス・コンジェニタ(DC)」と呼ばれ、貧血のほか、皮膚や粘膜の異常などが起きる。患者から作ったiPS細胞を造血幹細胞に変えて移植すれば、貧血を改善できる可能性がある。また、テロメアの長さが回復する仕組みを解明し、同じ作用をする化合物を見つければ、新薬の開発につながるという。 体細胞は分裂するたびにテロメアが短くなり、やがて分裂できなくなって老化する。しかし、身
代替不可能な遺伝子にも代役=iPS細胞作製法、マウスで成功−シンガポール 代替不可能な遺伝子にも代役=iPS細胞作製法、マウスで成功−シンガポール 山中伸弥京都大教授らが「人工多能性幹(iPS)細胞」を作るのに使った3種類の遺伝子のうち、最後まで代わりの遺伝子や化合物が見つかっていなかった「Oct4」も、別の遺伝子で代替できることが分かった。シンガポール・ゲノム研究所などの研究チームがマウスの胎児細胞で成功し、米科学誌セル・ステムセル電子版に22日発表した。 iPS細胞は身体の多様な細胞に変わる万能細胞で、ヒトでは難病患者の再生医療への応用が期待されている。研究成果は、iPS細胞ができる仕組みを解明し、遺伝子導入法より安全で作製効率が高い、化合物だけによる作製法を開発するのに役立つとみられる。 Oct4の代わりになると分かったのは、細胞核内の受容体を生み出す遺伝子「Nr5a2」。受容体
健康な脳神経に「糖鎖」が関与=アルツハイマー治療ヒントに−名古屋大 健康な脳神経に「糖鎖」が関与=アルツハイマー治療ヒントに−名古屋大 細胞膜に存在する糖の分子「糖鎖」に異常があると、免疫の過剰な活性化を引き起こしてしまい、自らの脳細胞を攻撃、アルツハイマー病などの病状と類似した脳の神経変性につながることを、名古屋大の古川鋼一教授らの研究グループが7日までに突き止めた。研究結果は米科学アカデミー紀要の電子版に掲載される。 古川教授によると、糖鎖はグルコースやガラクトースなどの糖が連なった分子で、主に細胞膜に存在。細胞内外の物質や情報のやりとりを担っている。 古川教授らは、細胞膜に存在する特定の糖鎖が欠損したマウスで実験を行ったところ、免疫機能が過剰に活性化し、自らの脳細胞などを攻撃。細胞は炎症を起こした後、死滅して脳神経の変性を起こすことが判明した。 アルツハイマー病やパーキンソン病
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