小学生のときは「ゆうふくなサラリーマン」、中学生になったら「裕福なサラリーマン」、卒業文集の“将来の夢”の欄には、そう書き続けた。どんな内容の仕事でもいい、土日祝日が休みで、給料をたくさんもらえるサラリーマンになるんだと、ずっと夢見ていた。 父親は、とある会社の社長をしていた。「社長」なんていうと響きは良いけれど、ごく小さな、そして運営が苦しい会社の社長なんてものは給料が無いに等しいらしい。会社の運営と従業員の給料で一杯一杯だったようで、うちの生活費は全て母親がパートに出て捻出していた。そんなわけで、家は貧乏だった。「貧乏暇なし」の言葉どおり、父親はいつも忙しく外を飛び回り、母親はパートで家を空けていることが多かった。 友達なんてとても呼べないくらい、狭くてボロボロの借家に住み、衣服は親せきからの貰い物ですませていた。その貧乏をネタにいじめられた事もあったけれど、徹底的に仕返しをしたら、い
いわゆる非コミュと呼ばれる人間関係レベルのコミュニケーションがエンジニアのコア要件だとは思わない。 PMとかSEとか、お客様との間で、仲良しレベルも知識レベルにてんで差がある場合は、その差を埋めるためのコミュニケーションスキルや、情報を翻訳して伝えるスキルってのがあると思うが、内勤で開発をやる場合のエンジニアでスキルのあるなしに関わらず、ここだけは意識して欲しいのが一点あって、 よく、こういう会話ってないだろうか? 営業君:「ちょっと教えて欲しいんだけど、これをこういう風に実現したいんだけど何か良い方法ないかなぁ?」 エンジニア君:「そうですね。いろいろやり方があります」 ・ ・ ・ 以上。 本当に聞きたいのは、「最良と思われる、”あなた”の一つのオススメ」なのだが、エンジニア君は、そこに対する可能性がいろいろあると、一つだけの答えを提示することはしない。 正式タスクに落ちて時間をかければ
うまくいかない日に仕込むラペ 「あぁ、今日のわたしダメダメだ…」 そういう日は何かで取り返したくなる。長々と夜更かしして本を読んだり、刺繍をしたり…日中の自分のミスを取り戻すが如く、意味のあることをしたくなるのです。 うまくいかなかった日のわたしの最近のリベンジ方法。美味しいラペを…
オセロ、チェスや将棋、囲碁のようなゲームは終局状態は簡単に定義できる。「こういう形になればゲームセットである」と判定したり、その状態の先手の勝ち負けを判定するプログラムは簡単に書ける。 だけど、ゲームの途中でどちらが有利なのかを判断させるためには、適当な評価関数を用意しなければならない。これらのゲームに共通してそういう性質がある。 そのなかでもコンピュータ囲碁はそれらのプログラムのなかでも最も難しいとされている。うまい評価関数を作成すること自体が難しい。 将棋ならば駒を得しているかだとか、王のまわりは安全かだとか駒の働きはどうかだとかそういったパラメータを導入する。それらのパラメータは熟練したプレイヤ(人間)が経験的に知っているものであり、ゲーム終了の局面から何らかの方法で逆算したものではない。 序盤で王を囲っておかないと、終盤で相手に駒を渡したときに詰みやすいが、いまのコンピュータ将棋の
彼女と出会ったのは高校のときで、「三組のこけしちゃん」は既に有名で、誰も彼もが彼女を遠巻きに見つめて噂するだけで、そんな彼女に僕は近づいた。僕に悪意がないことを、彼女はわかっていたのだろう。彼女は聡い人だ。彼女に触れることを許されたのは、長い高校生活の中で、僕だけだった。 彼女は、いつも口元を引き締めて、周囲を気にしないように振舞いながら、しかし他人の感情には敏感な少女だった。どうして腕がなくなったのか、僕は知らなかった。どうでもよいことだった。腕が欠けている。ただそれだけの理由で、僕はどうしようもなく彼女に惹かれた。そして彼女は、そんな僕を受け入れてくれたのだった。裸の彼女はおそろしく綺麗だった。肩のところの、元は腕がついていたはずの、滑らかな跡を舐めるのが好きだった。彼女が幻痛に苛まれ、声を漏らすのを聞くたびに、僕は快感に打ち震えた。 彼女との関係は、大学に入ってからも続いていた。ふと
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