2019年12月20日、日本物理学会などの学会や大学、研究機関が緊急声明「ヘリウムリサイクル社会を目指して」を発表しました。ふだんの生活では実感できませんが、産業・医療や基礎科学研究の現場で必要とされるヘリウムガスの枯渇が迫っているというのです。 この「ヘリウム危機」を理解するには、元素とは何かを知る必要があります。また、人類が利用できるヘリウムの起源は、宇宙物理学者たちを悩ませた巨大な謎につながっています。『宇宙と元素の歴史』が好評発売中の和南城伸也氏に、ヘリウム危機と宇宙の謎の関係を解説していただきました。 足りないなら、つくればいい? ヘリウム──この元素名を聞いて何を連想するだろうか。 空に浮かぶ風船につめられたガス、吸引すると声が高く変わるガス(酸欠になる可能性があるのでお勧めはしない)……、そんなところかもしれない。ところが、それも今は昔の話になりつつある。
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