晴天に恵まれた2024年6月2日、佐賀県南西部に位置する鹿島市で、泥だらけの運動会「ガタリンピック」が開かれた。地元で「ガタ」と呼ばれて親しまれる有明海の干潟を舞台に、年齢も国籍も所属も異なる人々が、夢中になって泥まみれとなる祭典だ。「地球に包まれたような感覚になる」「世界平和を感じる」。そんな不思議な感想を出場経験者が語るガタリンピックの魅力とは一体何なのか。今年で40年目を迎えた大会に、記者も同僚と参戦した。(時事通信社佐賀支局 仲村菜乃花) 「人間むつごろう」で泥だらけになる参加者=2024年6月2日、佐賀県鹿島市 数時間限定の「競技場」 有明海は佐賀、福岡、熊本、長崎の4県に接する約1700平方キロメートルの海。干潮と満潮の潮位の差は最大6メートルにもなり、干潮時には200平方キロメートルの日本一広大な干潟が現れる。冬はノリやカキの養殖漁業が盛んで、夏にはハゼ科のムツゴロウをはじめ