安倍晋三首相が国会論戦を通じ、憲法改正に踏み込んだ発言を繰り返している。夏の参院選で憲法改正を争点に掲げ、3分の2以上(162議席)の勢力を獲得して悲願の憲法改正を実現するためだ。民主党など野党は反発しており、与党内にも首相主導の改憲論議が「上滑りになりかねない」との懸念が出ている。 「みなさんが具体的な憲法改正草案を出していないのは事実だ」「指一本触れないと考えるなら思考停止だ」。首相は4日の衆院予算委員会で民主党の大串博志氏を挑発した。 首相は先月10日のNHK番組で「自公だけでなく、改憲を考えている人たちと3分の2を構成していきたい」と述べ、おおさか維新の会の協力を想定していることを明言した。21日の参院決算委でも「どの条項を改正すべきか、現実的な段階に移ってきた」と言及。閣僚経験者の一人は「野党分断を図ると同時に、憲法改正で本当に組める相手を見定めようという首相の意図だ」と語る。