終戦秘話 北千島守備隊の血戦 中島三一郎 ソ連北方領土へ侵攻開始 昭和二十年八月十五日、日本がポツダム宣言を受諾して連合国に無条件降伏を行い惨烈をきわめた太平洋戦争に終止符を打ったことは、日本国民が永久に忘れることのできない歴史上最大の出来事である。 しかしその二日後の八月十七日から我が北方領土に対しソ連軍が新たな侵攻作戦を関始して日本軍守備隊との間で激しい戦関が行われたことに関しては、当時の関係者や一部の軍事専門家を除いて日本国民の大半が殆ど知らない。 しかも千島列島の最北端の占守島(しむしゅとう)に上陸したソ連軍は日本軍の勇猛果敢な反撃を受けて完膚なきまでに撃ち破られ、あわや一人残らずオホーツク海の藻屑と消える寸前にまで追い詰められていたのだ。 事実ソ連政府機関紙イズベスチャは「占守島の戦いは満洲朝鮮における戦闘よりはるかに損害が甚大であった、八月十九日