いじめを受けていた大津市の中学2年の男子生徒の自殺で、学校や教育委員会の不手際が指摘されてから3カ月余り。いじめがまた社会問題化している。自殺に追い込まれる児童・生徒は各地で後を絶たない。悲劇を防ぐためには何が必要なのかを考えてみたい。 ◆罪悪感なく「面白い」 いじめが止まらない。今も昔も、程度の差こそあれ、なくならない。 「お道具箱の中に油みたいなものが入ってる…」 近畿地方の公立小学校に通っていた会社員の男性(37)は小学5年の時、同級生の男児が先生に泣きついたこの言葉を今もはっきり覚えている。 男性は前日の放課後、教室に忍び込み、仲間数人と一緒に男児の机の中にあった道具箱に小便を入れた。 男児は当時、男性の指示でクラスのほぼ全員から無視されていた。男性はいじめのニュースに触れるたび、このときの絶望した男児の表情を思い出す。その場面は無声映画のモノクロフィルムのように繰り返