大分県中津市の旧耶馬渓町の農村に、住民が共同出資した手作りの店がある。 大手コンビニエンスストアの店名をもじって、その名も「ノーソン」。喜寿を迎えた女性店長が体調に配慮しつつ、1人で切り盛りしている。「大切な店を守っていくため、皆が協力しなければ」と、利用客たちも農村コンビニの存続に知恵を絞り始めた。 市中心部から車で約40分。ノーソンは約250世帯600人が暮らす津民(つたみ)地区にある。65歳以上が39・4%を占める過疎地で、2003年に地区の農協支所が統廃合され、歩いて行ける範囲内に食品や日用雑貨を売る店がなくなった。 車がないお年寄りは、週1回来る移動販売に頼るしかない。それを知った元耶馬渓町職員の中島信男さん(59)が約250万円の私財を投じて旧支所を買い取り、約60人でNPO法人を結成。05年7月にノーソンとして開店させた。店名には「農村」のほか、店が損をせず、長続きすることを