『パルプ・フィクション』(Pulp Fiction/1994) デビュー作『レザボア・ドッグス』(1992)や脚本作品『トゥルー・ロマンス』(1993)で「新しい才能の登場」として騒がれていたクエンティン・タランティーノが、世界的に脚光を浴びることになったのがカンヌ映画祭を制した『パルプ・フィクション』(Pulp Fiction/1994)だった。 一つの映画の中に3つの物語を入れて、犯罪映画のアンソロジーを作ろうと思ったんだ。1930〜40年代に流行った大衆犯罪小説(パルプ・フィクション)からヒントを得てね。そういった雑誌では、一つの話の主人公が別の話では脇役として登場していたりする。こういう手法って映画じゃまずないから面白いと思った。 映画・音楽・コミックなど膨大なポップカルチャーを吸収分析するオタク/コレクター気質と、それを消化して自己表現へと変えていく作家性を併せ持つタランティーノ