世界大恐慌の時代、全米のホテルの81%が破産したという。ホテル業界にとっては、コロナ禍の今と負けず劣らず、厳しい時代だった。 そこで辛酸をなめながらも、大復活したのが、コンラッド・ヒルトン。「ホテル王」と呼ばれる、ヒルトンホテルチェーンの創業者だ。 1929年、ヒルトンが巨大ホテルの建設を発表した、わずか19日後、ニューヨーク株式市場で株価が暴落。華やかな開業パーティーから1年足らずで、ヒルトンは「破産状態」に追い込まれる。急成長していたヒルトンの経営基盤は脆弱だった。『大恐慌の勝者たち』から抜粋してお届けする。 コンラッド・N・ヒルトンは、誰もが知るヒルトンホテルチェーンを一代で築き上げた伝説の「ホテル王」だ。その名前を聞くと、お騒がせセレブとして話題を振りまくパリスとニッキーの「ヒルトン姉妹」が思い浮かぶ人もいるだろうが、2人はコンラッド・ヒルトンの曽孫にあたる。長男コンラッド・N・ヒ