これはオレがまだ20代半ば、北海道の田舎から東京に上京して数年ほど経った頃の話だ。 12月の終わり頃だった。夜半オレのアパートに訪ねてきたやつがいたのだ。ドアを開けると友人のNが立っていた。そしてその後ろにはどう見ても日本人じゃない女性が一人。「やあフモ。」厭に明るい表情が気になった。後ろの女性の存在をいぶかしく思っていたオレに彼は一言、「今晩泊めてくれないか?」といきなり切り出す。「はあ?泊めるって…その女の人は?」訳が判らず聞き返すオレ。「ああ、俺のガールフレンドだ!いや、いろいろ訳があってさ。」取り合えず二人を部屋に上げたが、状況がもはや尋常ではない。安普請の狭いアパートの部屋に三人で腰を下ろすが、オレは見知らぬ女性の存在が気になって仕方が無い。「なんなんだよいったい。」女性をちらちら見ながら問いただすオレに友人Nはその事情というのを話し始める。「彼女、ナンシーっていうんだ。」促され