「清流のアユ」が世界農業遺産に認定されている長良川で、北米原産の特定外来生物、コクチバス=写真、岐阜県提供=が相次ぎ見つかった。肉食で繁殖能力が高く、アユなどの生態系を脅かす恐れが高い。岐阜県は、国内の成功例がないとされる河川での「完全駆除」に乗り出した。 コクチバスは、類似のオオクチバスと並びブラックバスの通称で知られる。大正期に釣りや食用として国内に持ち込まれた。低水温や急流にも強く、天竜川(長野県)や那珂川(栃木県)などでアユへの食害が確認されている。 岐阜県内では、伊自良湖(山県市)で20年ほど前に初めて見つかったが、その際は水抜きをして駆除に成功。しかし、ここ数年、揖斐川や木曽川で見つかり、長良川でも昨年5月、美濃市内で初めて確認された。岐阜や郡上市でも報告が続くなど、アユ漁や鵜(う)飼いへの影響が危惧されている。