東北地方などに被害をもたらした台風19号の被災地を歩くと、森を全面伐採して丸裸にする「皆伐(かいばつ)」の跡地から土砂崩落が起きたケースが頻発していた。近年の他の豪雨災害でも同様の事例がみられる。政府が効率重視で林業の成長産業化を図る一方、こうした「人災」の検証は進まず、識者や林業関係者から懸念の声が漏れる。【寺田剛】 長さ100メートルを超える土砂崩れ 宮城・丸森 台風19号の通過から9日後の10月21日、記者は死者10人・行方不明者1人が出た宮城県丸森町に向かって国道113号を車で南下した。阿武隈川にかかる丸森大橋を渡ると、数キロ先の山腹に幅数十メートル、長さ100メートルを超える土砂崩れの跡が見える。「あれは皆伐跡地では?」と直感した。 現場は町中心部から約3キロ。町道から延びる林道の両側に約10ヘクタール、森を皆伐したらしい跡地が広がる。大型の林業機械を使ったらしい幅4~5メートル