時間は充分にあったはずなのに、締め切り間際まで仕事がはじめられない。ついつい悪態をついてしまう。酒を飲んではいけない時に飲みすぎる──いわゆる「悪癖」はままならない人生に常につきまとう影のようなものだが、本書はそこに切り込んで「実は、悪いと言われていることにも効用があるんじゃないの?」と問いかけてみせる。そうだったら実に嬉しい話だ。 本書では1章が「セックス」、2章「酒」、3章「悪態」、4章「危険運転」、5章「恋」、6章「ストレス」、7章「サボり」、8章「死」とそれぞれの章で悪癖に対する「効用」を探っていく。とはいえ、効用があるとはいってもこじつけめいたものであれば興ざめである。その点、本書の著者はイギリスのキール大学の心理学講師であり「悪態をつくことにより苦痛を緩和する」研究でイグ・ノーベル賞を受賞している専門家で、各種実験をおもしろおかしく紹介しながら、あくまでも科学としての妥当性につ