ブックマーク / honz.jp (502)

  • 酒、悪態、怠惰、ストレスを肯定する──『悪癖の科学 その隠れた効用をめぐる実験』 - HONZ

    時間は充分にあったはずなのに、締め切り間際まで仕事がはじめられない。ついつい悪態をついてしまう。酒を飲んではいけない時に飲みすぎる──いわゆる「悪癖」はままならない人生に常につきまとう影のようなものだが、書はそこに切り込んで「実は、悪いと言われていることにも効用があるんじゃないの?」と問いかけてみせる。そうだったら実に嬉しい話だ。 書では1章が「セックス」、2章「酒」、3章「悪態」、4章「危険運転」、5章「恋」、6章「ストレス」、7章「サボり」、8章「死」とそれぞれの章で悪癖に対する「効用」を探っていく。とはいえ、効用があるとはいってもこじつけめいたものであれば興ざめである。その点、書の著者はイギリスのキール大学の心理学講師であり「悪態をつくことにより苦痛を緩和する」研究でイグ・ノーベル賞を受賞している専門家で、各種実験をおもしろおかしく紹介しながら、あくまでも科学としての妥当性につ

    酒、悪態、怠惰、ストレスを肯定する──『悪癖の科学 その隠れた効用をめぐる実験』 - HONZ
  • あなたの「ふつう」をあつらえる 『未来食堂ができるまで』 - HONZ

    この夏に軽井沢で長野県産ワインをプロモーションするためのレストランをオープンしたのだが、当初の予想通りと言うか、とにかく全く儲からない。クラウドファンディングで沢山の方々から開業資金のご支援を頂いて、それが大きな助けになっているのだが、それでも内装・設備など開業コストの負担が重過ぎて、とても投下資金が回収できる感じはない。 レストラン経営が儲からないとは聞いていたものの、売上、原価、人件費、家賃、減価償却費くらいしか項目がない単純なビジネスモデルなのに、黒字にするのが驚くほど難しいことを改めて思い知らされた。 そんな時に、この『未来堂ができるまで』に関するダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー編集部による書評『未来堂は、経営の未来となるか』 を読んで俄然興味が湧き、その日の内に神保町の日教育会館の地下にある未来堂まで行ってランチを頂いてきた。 いきなり書の著者である小林せか

    あなたの「ふつう」をあつらえる 『未来食堂ができるまで』 - HONZ
    agrisearch
    agrisearch 2016/11/17
    「小林さんは、儲けや生活のためにレストランを経営している訳ではなく、最初から「誰もが受け入れられ、誰もがふさわしい場所をつくる」という大きな目標があって、それを実現するために未来食堂を開いたのだから」
  • ウンコのうんちく、てんこ盛り 『トイレ 排泄の空間から見る日本の文化と歴史』 - HONZ

    はばかりと呼ばれることがあるほどに、口にすることが憚られがちなトイレである。毎日必ずお世話になるにもかかわらず失礼なことだ。そのトイレを巡っての、うんこ話じゃなくてうんちく話が、うんこ盛りじゃなくててんこ盛りの一冊だ。編著者は『屎尿・下水研究会』である。会員は20名ほどだが、その職種が便器の設計者や紙の研究家、屎尿処理行政担当者など多岐にわたっているだけあって、ほんとに様々な話題がちりばめられている。 意外にも、世界最古のトイレは水洗だった。メソポタミア文明のエシュヌンナ遺跡から見つかった紀元前2200年ころのものである。日でも、縄文時代の遺跡から桟橋式のトイレが発掘されている。まさに「かわや」だ。どちらも水洗とはいえ、基的には川に流してるだけですけど、まぁ、道糞してほっとくよりは、うんこまし、じゃなくて、うんとましですわな。 近代的な意味での水洗トイレは、エリザベス女王のため1597

    ウンコのうんちく、てんこ盛り 『トイレ 排泄の空間から見る日本の文化と歴史』 - HONZ
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    agrisearch 2016/11/17
    農業利用(下肥)についても解説がほしかった。
  • 『ききりんご紀行』-編集者の自腹ワンコイン広告 - HONZ

    突然ですが、りんごの種類、いくつ言えますか? ぶどうなら、巨峰・デラウェア・シャインマスカット……3つくらいすぐ出てきて見分けもつくのに、りんごとなると、黄色いのは王林、赤いのはふじ、つがる……名前は知っているけれど、区別がつかない。たいていの人は(青森や長野出身の人はのぞいて)そんな感じではないでしょうか。 りんごはスーパーでほぼ1年中手に入るし、「わーい、メロン!」「いちご、大粒だ~」的な高揚感には欠けますね。嫌いって人は少なさそうだけど、好きな果物NO.1にりんごを挙げる人も少なそう。体にいいと言われているから、冬の間はよくべる、そんな人も多いのではないでしょうか。 小説家・谷村志穂さん、実は北海道大学農学部出身のリケジョです。谷村さんが半年間ほぼ毎日りんごをべ比べ(ききりんご)をして、驚きや気づきを綴ったのが『ききりんご紀行』です。 現在国内で流通しているりんごは約40種類。谷

    『ききりんご紀行』-編集者の自腹ワンコイン広告 - HONZ
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    agrisearch 2016/11/17
    「小説家・谷村志穂さん、実は北海道大学農学部出身のリケジョです」。。
  • 『ニワトリ 人類を変えた大いなる鳥』 - HONZ

    ニワトリ無くして、人類無し! もし世界からニワトリが消えたなら? きっと各地でパニックが起きるに違いない。鶏肉は牛肉・豚肉などと比べて国際的な生産・消費量が急増しており、とりわけ新興国・途上国での需要がぐんと伸びている。安価で栄養価の高い肉や卵は、多くの庶民の健康を陰で支えてきた。 その膨大な加工品も含めて、人類にとってますます不可欠な材となり、成長する巨大都市のエネルギー源にもなっている。 もし私たちが他の惑星へ移住する時がきたならば、最も重要なタンパク源としてニワトリをまず同行させるだろう。実際、NASAはニワトリが惑星間旅行に耐えられるかどうかの実験をしており、可能と結論づけている。 材だけではない。インフルエンザの世界的流行をい止めるのにも、ニワトリは重要な役割を担っている。インフルエンザワクチンを作る入れ物として、卵が使われているのだ。 「宇宙船よりも複雑な構造」を持つ卵

    『ニワトリ 人類を変えた大いなる鳥』 - HONZ
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    agrisearch 2016/11/17
    「ニワトリの家畜化も農業以前、つまり食料としてではなく、信仰・儀式(生贄を含む)や、実用(骨は縫い物や刺青に、羽は飾りに、肉・卵は薬に、暁の鳴き声は時計に)、そして娯楽(闘鶏)のためだった」
  • 『土と内臓 微生物がつくる世界』 - HONZ

    書の原題 The Hidden Half of Nature は「隠された自然の半分」という意味だ。それが示すとおり書は、肉眼で見えないため長いあいだ私たちの前から隠されていた、そして今も全貌が明らかにはなっていない微生物の世界を扱っている。 昨今、腸内フローラという言葉がちょっとした流行語となっている。腸内細菌の重要性は以前から言われてきたが、さらに一歩進んで、細菌の多様性やバランスが注目されるようになったということだろう。腸、特に大腸の内部は、人間にとってもっとも身近な環境といえる。そこでは数多くの微生物が生態系を築き、人体と共生して、物を分解し人間に必要な栄養素や化学物質を作り、病原体から守っている。 それと同じことが、土壌環境でも起きている。腸では内側が環境だったが、根では裏返って外部が環境となる。そこに棲息する微生物は植物の根と共生して、病原体を撃退したり栄養分を吸収できる

    『土と内臓 微生物がつくる世界』 - HONZ
  • 『生命、エネルギー、進化』この生物学の本にはぶっとんだ! 客員レビュー by ビル・ゲイツ - HONZ

    昨年、私たちの財団でグローバル・ヘルス関連の仕事を手掛けているトレヴァー・マンデルが私に、このを読むよう勧めてくれた。私はそれまで書のことも、著者であるユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのニック・レーンという生物学者についてもまったく知らなかった。数か月後には、私はたんにこのを読み終えていただけでなく、ニックのほかの著書3冊を取り寄せ、うち2冊を読み終わり、ニューヨークで彼と会う手筈を整えていた。 ニックはジャレド・ダイアモンドのような書き手を思い起こさせる。世界について多くを説明する壮大な理論を考え出す人々だ。彼はそんな独創的な思索家のひとりで、あなたにこう言わせる。「この男の仕事についてもっと多くの人が知るべきだ」 ニックの著作は質的には、すべての生きとし生けるものにとってのエネルギーの役割を読者に深く認識させ、科学におけるボタンの掛け違いを正そうとする試みである。『生命、エ

    『生命、エネルギー、進化』この生物学の本にはぶっとんだ! 客員レビュー by ビル・ゲイツ - HONZ
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    agrisearch 2016/10/08
    「細胞レベルのエネルギーの問題はどうすれば正しく解決できるのかという視点から、生命の誕生や複雑化への道筋も説明されるという話」
  • 『外来種は本当に悪者か? 新しい野生 THE NEW WILD』 - HONZ

    外来種と言えば、琵琶湖の在来種を脅かすブルーギルやブラックバスが脳裏に浮かぶ。いかにして駆除するか、心ない放流をい止めるか。獰猛な外来種から琵琶湖の自然を守れ。確かにそうだと思う反面(因みに、僕は琵琶湖の外来種の駆除にはずっと賛成している)、何か心にひっかかるものをずっと感じていた。書は、この問題に正面から挑んだ力作である。 冒頭、南大西洋・アセンション島の蒼とした雲霧林(グリーン山)が紹介される。原始の状態が残っていると考えた著者の推測は完全にはずれた。ダーウィンが訪れたときは丸裸の島で人間が持ち込んだ外来種が島を緑に変えたのである。 孤島の生態系は外来種の絶好のカモだという思い込みには根強いものがあるが、島嶼グループを対象にした調査では在来種に重大な影響を及ぼしたものはほんのひと握りで、ほとんどの外来種は多様性を高め生態系を豊かにしていたのである。著者は、オーストラリア、ヴィクト

    『外来種は本当に悪者か? 新しい野生 THE NEW WILD』 - HONZ
  • 『ジビエ教本 野生鳥獣の狩猟から精肉加工までの解説と調理技法』自分で獲って、自分で捌く - HONZ

    ジビエレストラン「LA CHASSE(ラシャッス)」がどこにあるか直ぐに分かる人はかなりの通である。住所は港区六木三丁目で、泉ガーデンの首都高環状線を挟んで向い側の、先日オープンしたばかりの六木グランドタワー(六木三丁目東地区計画)の直ぐそば、六木通りから少し入った寄席坂の上の方にある。この都会の喧騒の中にポツリと佇む隠れ家レストランをわざわざ訪れるのは、かなりのジビエ好きである。 「ジビエ」とは野生の鳥獣のことで、転じて、それらの料理を指す言葉としても用いられる。つまり、鴨、山鳩、山鶉、雉子、雷鳥、蝦夷鹿、熊、兎、猪など野生の材を使った料理が「ジビエ料理」である。高タンパク低カロリーで肉の旨みの詰まったジビエ材は、日でもここ最近急速に人気が高まっている。 ワインとの取り合わせをソムリエ試験的に言えば、「羽のジビエはブルゴーニュの高級な赤ワイン、毛のジビエの煮込みは南西地方か

    『ジビエ教本 野生鳥獣の狩猟から精肉加工までの解説と調理技法』自分で獲って、自分で捌く - HONZ
  • 『最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常』そこは大人の幼稚園だった! - HONZ

    大学に関するノンフィクションは数あれど、藝大がテーマというのも珍しいなと思い読み始めたのだが、中に登場する人物たちは、もっと珍しかった。まさに珍獣、猛獣のオンパレードである。 舞台となる東京藝大は上野にキャンパスがあり、芸術家を志すものたちにとっての最高学府である。上野駅を背にして左が美術学部で、右が音楽学部。美術と音楽、二つの芸術がまさにシンメトリーのように共存しているのが、特徴の一つだ。 まるで町工場のような美校の校舎と厳格なセキュリティに管理された音校の校舎。ほぼ全員遅刻の美校と、時間厳守の音校。なんでも作ろうとする人と、洗い物さえしない人。何もかも自前で飲み会をする人と、鳩山会館で同窓会をする人。 普通なら交わることのなかった両者が、同じ校舎に通う。それが東京藝大なのだ。 著者は、現役の藝大生を伴侶に持つラノベ作家。一緒に暮らしていく中での、あまりに不思議な暮らしぶりに興味を持ち、

    『最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常』そこは大人の幼稚園だった! - HONZ
  • 新時代への議論の基礎──『人間さまお断り 人工知能時代の経済と労働の手引き』 - HONZ

    この数年、怒涛のように人工知能関連が刊行されたこともあって、今となっては「人工知能によって雇用は失われます!」と危険性を指摘するだけのは真新しくもおもしろくもない。書もその類のなのかと思っていたが、議論は既存の同ジャンルノンフィクションに比べても一歩先に進んでおり、未来予測も頷くところ多しで予想を裏切って大変楽しく読ませてもらった。 最初に書の内容をざっと紹介してしまうと、副題に「人工知能時代の経済と労働の手引き」とあるように、機械学習やニューラルネットワークなど各技術分野の進歩が著しいこの人工知能時代において、不可避的な失業問題にどう対処すべきか、機械道徳はどうあるべきか、AIの過失を法律はどう判断すべきか、富の分配について──などの産業/社会的なインパクトをできるだけ現実に即し、政策レベルでの解決法を語る、今まであまりなかったガイドになっている。 労働市場について 人工知能

    新時代への議論の基礎──『人間さまお断り 人工知能時代の経済と労働の手引き』 - HONZ
  • 『図説シルクロード文化史』 - HONZ

    正倉院はシルクロードの終着点であると教わった記憶がある。「月の沙漠」の歌ではないが、シルクロードという言葉には、ラクダの隊商が列をなしてローマやペルシャから遥々と中国まで(さらには奈良の都まで)宝物を運んできたロマンチックなイメージがある。著者は、シルクロードの重要な中継地であったクロライナ王国のニチャと楼蘭、鳩摩羅什(有名な仏教の訳経者)の故郷クチャとキジル石窟、トルファン、サマルカンド、敦煌、ホータンなどのオアシス都市とシルクロード終点の国際都市長安を舞台に、それぞれの地域から出土した史料を綿密に考証してシルクロードの交易の実相を多数の図版とともに明らかにした。 シルクロードは実際の一道ではなく、砂漠や山岳地帯をつらぬく、つねに変化する道筋のつらなりだった。乾燥した気候のおかげで多量の文書や遺物が残った。ヘディンやオーレル・スタインなどの探検家がこれらの文物を多数回収したが、中でも、

    『図説シルクロード文化史』 - HONZ
  • 『タングステンおじさん』化学にのめり込んだ、少年時代のオリバー・サックス - HONZ

    稀代の書き手であったオリバー・サックスが亡くなって1年(8月30日が命日)。『タングステンおじさん』は、2001年に単行として刊行され、このたび文庫化された作品ですが、私は単行を読んでいなかったので、この文庫版を手に取りました。だって、なんて魅力的なタイトルなのでしょう!(うかつにも読んでなかったわたし…) すこし回想めきますが、私がオリバー・サックスという名前を意識するようになったのは、今から22年前、The New Yorkerに、An Anthropologist on Mars (火星の人類学者)という記事が掲載されたときのことでした。自閉症の動物学者テンプル・グランディンに取材したこの作品を引き込まれるように読んだ私は、これはすごい書き手だ! と思い、それ以来、サックスの記事が載るのを楽しみにするようになりました。 実はこの「火星の人類学者」は、のちに映画化される『レナードの

    『タングステンおじさん』化学にのめり込んだ、少年時代のオリバー・サックス - HONZ
  • 『本当はひどかった昔の日本 古典文学で知るしたたかな日本人 』文庫解説 by 清水 義範 - HONZ

    私は、大塚ひかりさんには恩を受けている。大塚さんの仕事の中に、ひとりで全訳をした『源氏物語』(ちくま文庫)があるのだが、そののおかげで私は初めて『源氏物語』の全巻を読み通すことができたのだ。 それより前には、いろんな作家の現代語訳で挑戦したのに、ついにすべてを読み通すことができなかった。谷崎潤一郎訳では、全10巻のうち第1巻(「若紫」まで)しか読めなかったし、その後、円地文子訳でも、瀬戸内寂聴訳でも読もうとしたのだが、半分くらいまでで挫折してしまっていたのだ。『源氏物語』を通読するのは私には無理なのかと思ったくらいだ。 ところが、年を取って図々しくなっている私は、よくわかっているような顔をして『源氏物語』について、解説するようにしゃべったりしていた。あの物語の中のヒロインたち何人かを題材にして大いにパロディ化してみた『読み違え源氏物語』(文藝春秋)という短編集まで出しているのである。ある

    『本当はひどかった昔の日本 古典文学で知るしたたかな日本人 』文庫解説 by 清水 義範 - HONZ
  • マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー

    三十路も四十路もまだまだ幼児?『魔女は三百路から』 2018年11月18日 唐突なんですけど、皆さんは「魔女」の存在を信じますか? そう、あの魔女です。御伽話や物語、もちろんマンガの世界でも何度も見かけるあの魔女です。 くしゃくしゃの顔で先端が折れた三角の頭巾とローブを身...

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  • 家にピッチピチの伊勢エビがやって来た! さあどうする? 『その道のプロに聞く 生きものの飼いかた』 - HONZ

    宅急便で届いた箱の中から、カサコソと音がする。そっと蓋を開けると、おがくずの中から現れたのは……エビの王様、伊勢エビだあー!! 「かっちょいい甲冑姿を毎日飽くことなく眺めたい!」という欲望に抗える人は、多くはあるまい。当然、飼うでしょ! 書は偶然出会った生きものを楽しく飼う方法を伝授してくれる、ものすごく実用的なである。昨年紹介した『その道のプロに聞く 生きものの持ちかた』は、フェレットの耳かきからハリネズミの爪切りの方法まで教えてくれる内容に「世の中にこれ以上実用的なはあるまい」と感動にむせび泣きながらレビューを書いた。しかし、続編の書は、それを超える実用度なのである。 だって、晩御飯のお味噌汁用に買ってきたアサリに、突然あふれんばかりの愛を感じてしまったら、困るでしょう? スーパーでウズラの卵を見つめながら「これが全部孵化したら……」と妄想すること、誰だってあるでしょう?

    家にピッチピチの伊勢エビがやって来た! さあどうする? 『その道のプロに聞く 生きものの飼いかた』 - HONZ
  • 『サイボーグ化する動物たち ペットのクローンから昆虫のドローンまで』 - HONZ

    科学技術の進歩はめざましい。日ごろの暮らしではあまり気にとめていなくても、何かの出来事やニュースがきっかけで、世の中はここまで進んでいるのかと驚かされた経験をもつ人も多いのではないだろうか。 バイオテクノロジーの進歩も例外ではなく、人間が生命を自由に操れる時代が着実に近づいている。書では新進気鋭の科学ジャーナリスト、エミリー・アンテスが、さまざまな技術を駆使して動物のからだに手を加える最先端の取り組みに注目し、ユニークな研究を進めている人々を訪ね歩く。そのような研究で新たに生まれている生きものについて、「厳密に言うと何なのか? どんなふうに見えるのか? 誰が、どんな理由で作っているのか? そしてそれらの動物はほんとうに、今までになかったものなのか?」という素朴な疑問を抱き、答えを見つけようと、精力的な旅に出たのだ。読者もその旅に同行し、これまで見たこともないような動物たちに出会うことにな

    『サイボーグ化する動物たち ペットのクローンから昆虫のドローンまで』 - HONZ
    agrisearch
    agrisearch 2016/08/18
    「訳者あとがき」
  • 『あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめた』肥満も腸内細菌のせい!? - HONZ

    ここ数十年で劇的に増加している慢性的な疾患(あるいは不健康な状態)が存在する。たとえば肥満。アメリカでは1950年代から体重の増加が顕著となり、1960年代の初めての全国調査では、成人の13%が肥満(BMI値が30以上)、30%が過体重(BMI値が25~30)とされた。そして1999年の調査では、その傾向に拍車がかかり、肥満率は倍増の30%、過体重の人も34%に達している。さらに、アメリカのみならず世界全体でも肥満は増加し、この40年で男性の肥満率は3倍以上、女性の肥満率は2倍以上に上昇している。 増えているのは肥満だけではない。胃腸疾患にアレルギー、自己免疫疾患、そして自閉症などの心の病気もそうである。そのような、とくに20世紀半ば以降に急増している疾患は、「現代病」ないし「21世紀病」と呼ばれている。しかし、そもそも現代病はどうして急増しているのだろうか。 その点を説明するものとして、

    『あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめた』肥満も腸内細菌のせい!? - HONZ
  • 『ゲノム編集の衝撃 「神の領域」に迫るテクノロジー』来るべき未来に備えて正しい理解を - HONZ

    「今、もっともエキサイティングなバイオテクノロジーは何か」。この質問に対し、多くの生命科学者は次のように答えるだろう。「それはゲノム編集だ」、と。書は、ゲノム編集がどのような技術で、この技術がいかに未来を変えうるかについて解説した良書である。 ゲノム編集とは、遺伝子の体であるDNAの狙った位置を切り貼りするなどして「編集」し、その生物のすべての遺伝情報、すなわちゲノムを改変する技術である。ゲノム編集により、有用な農作物の作出や、遺伝性疾患の治療ができるようになると期待されている。ゲノム編集技術のひとつであるCRISPR/Cas9(クリスパー・キャスナイン)システムの確立により、この技術が爆発的に普及するようになった。 これまでに国内で出版されたゲノム編集関連の書籍は研究者向けのものばかりで、一般向けに書かれた入門書のような存在は皆無だった。書は生物学についての専門知識がなくても容易に

    『ゲノム編集の衝撃 「神の領域」に迫るテクノロジー』来るべき未来に備えて正しい理解を - HONZ
    agrisearch
    agrisearch 2016/08/18
    堀川大樹氏。
  • 『「日本スゴイ」のディストピア 戦時下自画自賛の系譜』最近、再び増殖中 - HONZ

    「ディストピア」とはユートピアの反対語。理想郷じゃない場所のことだ。「日スゴイ」ならユートピアなんじゃないの?と思いながら読みはじめると、戦時下に行われたプロパガンダによって洗脳された日人の姿に戦慄させられる。言葉の力は強大だ、プラスに働いてもマイナスでも。 書には昭和初期から終戦までに出版された、当時の「日スゴイ」の中から「日主義」「礼儀」「勤労」など、現代にも通ずる日礼讃キーワードごとに、膨大なを吟味していく。こんなことが大真面目に語られていたかと驚くばかりである。 そもそも「日スゴイ」のネタの原型はどこにあるのか。探っていくと見つかったのは週刊新潮の版元、新潮社が出していた月刊総合雑誌「日の出」であったのだ。 満州事変を契機とする日の国際連盟脱退を受けた「日の出」1933年10月号には「世界に輝く日の偉さはこゝだ」という特別付録が付いていた。地球上に全く孤立無援

    『「日本スゴイ」のディストピア 戦時下自画自賛の系譜』最近、再び増殖中 - HONZ