ブックマーク / honz.jp (502)

  • 2011-2024 この13年間における最高の一冊 - HONZ

    2011年7月15日にオープンしたノンフィクション書評サイトHONZ。日2024年7月15日をもちまして13年間のサイト運営に終止符を打つこととなりました。 2011年の東日大震災から、記憶に新しいコロナ禍まで。はたまたFacebookの時代からChatGPTの到来まで。その間に紹介してきた記事の総数は6105。 発売3ヶ月以内の新刊ノンフィクションという条件のもと、数々のおすすめを紹介する中で、様々な出会いに恵まれました。信じられないような登場人物たち、それを軽やかなエンターテイメントのように伝える著者の方たち、その裏側で悪戦苦闘を繰り広げていたであろう版元や翻訳者の皆さま。さらに読者へ届ける取次会社や書店員の皆さま、そしてHONZを愛してくださったすべての皆さま、当にありがとうございました。 サイトを閉じることになった理由に、明快なものは特にありません。こんなサイトがあったら

    2011-2024 この13年間における最高の一冊 - HONZ
  • 無限大のドルを求めた果てに逮捕された男の転落記──『1兆円を盗んだ男』 - HONZ

    1兆円を盗んだ男 仮想通貨帝国FTXの崩壊 作者: マイケル・ルイス 出版社: 日経BP 日経済新聞出版 発売日: 2024/6/26 この『1兆円を盗んだ男』は、『マネー・ボール』や『最悪の予感』などで知られるマイケル・ルイスの最新作。今回彼がテーマに選んだ人物は暗号資産取引所FTXを立ち上げ莫大な富を築き上げた後、2022年に逮捕されてしまった男サム・バンクマン=フリードだ。 マイケル・ルイスといえば複雑な題材であっても見事な一筋の通ったストーリーに仕立て上げるノンフィクションの名手だ。しかし、書ではさすがにそうもいかなかったらしい。最終的には年間で10億ドルもの利益をあげるようになり、20代で長者番付にも名を連ねた暗号資産の若き天才に幼少期から迫る──というプロローグながら、マイケル・ルイスの取材中にFTXは破産。 その後、サムはFTXの破産と関連した詐欺やマネーロンダリングを

    無限大のドルを求めた果てに逮捕された男の転落記──『1兆円を盗んだ男』 - HONZ
    agrisearch
    agrisearch 2024/07/07
    「本書を読んでみえてくるサムとFTXの実態は、とんでもない金額を扱いながらも細かいことを誰も把握していなかったせいで破綻した、というしょうもない姿である」
  • 芥川賞作家によるADHDをめぐる私ノンフィクション 『あらゆることは今起こる』 - HONZ

    あらゆることは今起こる (シリーズ ケアをひらく) (シリーズケアをひらく) 作者: 柴崎友香 出版社: 医学書院 発売日: 2024/5/13 『あらゆることは今起こる』、芥川賞作家・柴崎友香さんの最新作である。いかにも小説っぽいタイトルだが、そうではない。柴崎さんが40代の後半でADHD(注意欠如・多動症)と診断を受けられ、治療薬のひとつであるコンサータを服用、いかに変わられたか。その自分の経験からADHDASD(自閉スペクトラム症)といった発達障害について考えていかれるノンフィクションである。 小学校六年生の修学旅行で夜更かしして翌日眠たくて、それ以来一回も目が覚めた感じがしなかったんですが、今、三十六年ぶりに目が覚めてます それって映画「レナードの朝」のロバート・デ・ニーロやん、と思わず突っ込んでしもた。スンマセン。柴崎さんがコンサータの最初の一錠を服用された時の感想だ。つい小説

    芥川賞作家によるADHDをめぐる私ノンフィクション 『あらゆることは今起こる』 - HONZ
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    agrisearch 2024/07/01
    柴崎友香氏。
  • 『地球規模の気象学』 地球の巨大な循環システムが天気を決める! - HONZ

    地球規模の気象学 大気の大循環から理解する新しい気象学 (ブルーバックス) 作者: 保坂 直紀 出版社: 講談社 発売日: 2023/11/16 昨年の夏は猛暑だったが、実は2023年は世界的にも気象観測史上で最も暑かったことがデータから裏付けられている。こうした現象を研究する学問は「気象学」と呼ばれており地球科学の一分野である。その対象は風や雲、雨や雪、台風や寒波など「大気の大循環」と呼ばれる地球規模の巨大な循環システムが司っている。 書はその仕組みを高校生にもわかるように解説した啓発書で、著者は読売新聞の科学記者を経て東京大学で研究を続ける地球物理学の第一人者だ。気象や天気に興味がある人なら是非とも理解しておきたい物理の法則から説き明かし、気象予報士取得の勉強にも役に立つ。 サブタイトルにある「大気の大循環」とは、太陽から地球へもたらされるエネルギーが対流や波動という物理現象によって

    『地球規模の気象学』 地球の巨大な循環システムが天気を決める! - HONZ
  • 『死の貝 日本住血吸虫症との闘い』著者、小林照幸にあの頃のこと訊く - HONZ

    死の貝:日住血吸虫症との闘い (新潮文庫 こ 28-2) 作者: 小林 照幸 出版社: 新潮社; 文庫版 発売日: 2024/4/24 小林照幸『死の貝 日住血吸虫症との闘い 』(新潮文庫)が注目されている。4月24日に上梓されて以来、現在4刷、累計2万6千冊のスマッシュヒットだ。26年前の1998年に出版されたが、なぜいまこんなに注目を浴びているのか。以前より小林照幸のを”激推し”してきた東えりかと、医学者・仲野徹が話を聞いた 仲野 『死の貝』は昔読んだ記憶があったけれど、文庫化されたのも20年以上時間が経ってからだし、こんなに注目されることってある?と不思議になりました。どうして突然文庫化されたんですか? 小林 それは新潮社さんからご説明頂きましょうか。 編集部 もともと新潮社の営業部と未来屋書店で、月に一回、情報交換の定例会議をしています。そのなかで女性書店員さんが「そういえ

    『死の貝 日本住血吸虫症との闘い』著者、小林照幸にあの頃のこと訊く - HONZ
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    agrisearch 2024/07/01
    「当時、寄生虫の根絶に関わった1940年代から60年代に活躍した先生方は、いまではもう伝説です。そういう先生方にじかにお会いでき、さらに気軽に会いに行けるほどかわいがってもらったというのは、いま思うと財産です
  • 『シャーロック・ホームズの護身術 バリツ 英国紳士がたしなむ幻の武術』その正体とは? - HONZ

    「明鏡止水 武のKAMIWAZA」というNHKの番組をご存知だろうか。格闘家でもある俳優の岡田准一が司会を務め、武道各流派を率いる一流の武術家たちが集結し、真髄を語り秘儀を披露していく。録画をして繰り返し観るほど私の好きな番組だ。 『シャーロック・ホームズの護身術バリツ:英国紳士がたしなむ幻の武術』には技の説明のため120点を超える写真が掲載され、中には袴を穿く人物が登場している。動いている姿を見てみたいという欲望が沸き上がる。この番組で実演してくれないだろうか。 「バリツ」という格闘術が一般に有名になったのは、ひとえに〈名探偵シャーロック・ホームズ〉シリーズの「空き家の冒険」で、宿敵のモリアーティ教授の死闘を回想したこのシーンからだ。 ―崖っぷちから落ちかけたぼくたちは一瞬ふたりそろってよろめいたんだ。でもぼくは日の格闘術であるバリツを少々かじっていて、何度もそれに救われたことがあって

    『シャーロック・ホームズの護身術 バリツ 英国紳士がたしなむ幻の武術』その正体とは? - HONZ
  • そうだ、インド・ネパール料理店へ行こう!『カレー難民の謎 日本を制覇するインネパ』 - HONZ

    カレー移民の謎 日を制覇する「インネパ」 (集英社新書) 作者: 室橋 裕和 出版社: 集英社 発売日: 2024/3/15 不思議だと思っていた。にぎやかな下町に住んでいるとはいえ、徒歩圏内に「インド料理店」が五軒もある。うち一軒はビリヤニなどもメニューにあるホンモノのインド料理店だけれど、他の四軒は「インド・ネパール料理店」で、メニューも値段もえらく似通っている。 さらに不思議に思ったこともある。ちょうど5年前、トレッキングでネパールへ行った時にわかったのだが、カレーがほとんど出てこない。代わりによくべた、というよりべさせられたのはダルバートだ。豆(ダル)のスープと米(バート、もちろんインディカ種)がメインで、そこにカレーに似た、といってもそれほどスパイシーではないタルカリというのがついていて、アチャールという漬物や薬味が添えられている。トレッキングのガイドさんたちは毎ダルバー

    そうだ、インド・ネパール料理店へ行こう!『カレー難民の謎 日本を制覇するインネパ』 - HONZ
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    agrisearch 2024/04/29
    「それまでのルールが大幅に緩和され、500万円以上の出資があれば外国人による会社設立ができるようになったためだという。そうして2000年代からインネパの店が増えていき…」
  • 『評伝クリスチャン・ラッセン』なぜ日本で人気なのか - HONZ

    評伝クリスチャン・ラッセン 日に愛された画家 (単行) 作者: 原田 裕規 出版社: 中央公論新社 発売日: 2023/12/20 まだ学生だった頃の話である。その日、山手線のある駅で待ちぼうけをっていた。ふと周りをみるとギャラリーがある。ガラス張りで見通しがきくし、これなら待ち人と行き違うこともなさそうだ。それに暇つぶしに絵画鑑賞なんてしゃれてるじゃないか。そう考えて足を踏み入れたのが間違いだった。 入ると、若い女性が満面の笑みで寄ってきて絵の説明をはじめた。熱心だなと好印象を抱いたが、途中からやけにボディタッチが多いのが気になった。そのうち話がおかしな方向に向かっていることに気づいた。彼女は作品の解説をしていたのではなかった。売りつけようとしていたのだ。 いくら断っても彼女は一歩も引かない。お金がないと言えば、48回払いをすすめられ、待ち合わせ中だと言えば、ぜひお友だちもご一緒に

    『評伝クリスチャン・ラッセン』なぜ日本で人気なのか - HONZ
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    agrisearch 2024/04/21
    普通にラッセンが好き(?)
  • 『トヨタ 中国の怪物』トヨタの中国進出と創業家世襲に秘められた歴史 - HONZ

    トヨタ 中国の怪物 豊田章男を社長にした男 作者: 児玉 博 出版社: 文藝春秋 発売日: 2024/2/7 一見関係のないものを掛け合わせると、思いもよらない新しいものが生まれることがある。書は「中国現代史」と「トヨタ創業家の歴史」を組み合わせることで、これまでにない角度からトヨタの核心部分を描くことに成功している。 異質なものを掛け合わせるには触媒が必要だが、書では、ひとりの男性がその役割を務める。男の名は、服部悦雄。”低迷していたトヨタ中国市場を大転換させた立役者”であり、”トヨタを世界一にした元社長、奥田碩を誰よりも知る男”であり、”創業家の御曹司、豊田章男を社長にした男”でもある。そんなキーパーソンへの長時間にわたるインタビューをもとにまとめられたのが書だ。 このには読みどころがふたつある。ひとつは、中国現代史の暗部を身をもって体験した服部の貴重な証言。そしてもうひとつ

    『トヨタ 中国の怪物』トヨタの中国進出と創業家世襲に秘められた歴史 - HONZ
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    agrisearch 2024/03/21
    「男の名は、服部悦雄。”低迷していたトヨタの中国市場を大転換させた立役者”であり、”トヨタを世界一にした元社長、奥田碩を誰よりも知る男”であり、”創業家の御曹司、豊田章男を社長にした男”でもある」
  • 最相葉月さんのエッセイ集『母の最終講義』、僭越ながらのレビューでござる - HONZ

    母の最終講義 作者: 最相葉月 出版社: ミシマ社 発売日: 2024/1/18 う~ん、あかんがな。読み始めてすぐにそう思った。エッセイとは来こういうものを言うのだろう。う~ん。なにがあかんか、まずはその話から。 最相葉月さんといえば、押しも押されもせぬノンフィクションライターだ。『絶対音感』を読んだ時の衝撃-テーマへの迫り方の凄さ-は今でもよく覚えている。それだけではなく、エッセイの名手でもある。 ずいぶんと前になるが、「我が心の町 大阪君のこと」を、記憶が正しければ文藝春秋の巻頭エッセイで、読んだ。このエッセイが元になって、後年、真中瞳主演の映画「ココニイルコト」が作られたほどだから、大きな広がりを感じたのは私だけではなかったのだ。エッセイの舞台が大阪だったということともあるが、その視線の温かさにすっかりファンになった。 ちなみに、この映画、まだ無名だったころの堺雅人が「大阪君」の

    最相葉月さんのエッセイ集『母の最終講義』、僭越ながらのレビューでござる - HONZ
  • 『世界から青空がなくなる日』 自然のコントロールをコントロールする - HONZ

    世界から青空がなくなる日:自然を操作するテクノロジーと人新世の未来 作者: エリザベス・コルバート 出版社: 白揚社 発売日: 2024/1/26 アメリカのミシガン湖とデス・プレインズ川をつなぐシカゴ・サリタニー・シップ運河。およそ45kmにわたるその川の一画に、不穏な看板が掲げられている。「危険」、「この先、魚用の電気バリアあり。感電の危険大」。しかし、それほど危険な電気バリアがなぜ川に仕掛けられているのだろうか。 その理由は、わたしたちと自然の複雑な関係を象徴している。サリタニー・シップ運河がまだ存在しなかった19世紀、シカゴ市の汚水はシカゴ川に垂れ流され、最終的にはミシガン湖へ流れこんでいた。だが、ミシガン湖といえば、当時もいまもシカゴ市唯一の飲料水源である。そこで、20世紀初頭に運河を開通させ、川の流れを逆転させることにしたのである。 図 シカゴ・サリタニー・シップ運河の開通とそ

    『世界から青空がなくなる日』 自然のコントロールをコントロールする - HONZ
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    agrisearch 2024/03/12
    「ソーラー・ジオエンジニアリング」
  • 『励起 仁科芳雄と日本の現代物理学』を読む - HONZ

    みなさんは、仁科芳雄という人物をご存知だろうか? 物理学をある程度学んだ者なら必ず知っているし、物理学でなくても、理系の研究者なら、ほぼ間違いなく知っているだろう。わたしも一応は知っていた。「仁科記念賞」という、原子物理学とその応用に関する栄誉ある賞があるし、教科書には「クライン=仁科の式」というものが載っている。仁科は理研(理化学研究所)の人であることや、サイクロトロンを作ったことや、第二次世界大戦中はいわゆる「ニ号研究」をやっていたこと、そして戦後は学術会議の創設に関わったことなども知っていた。(恥ずかしながら書を読んではじめて知ったのだが、いわゆる原爆研究とされる「ニ号研究」というプロジェクト名は、「2」号研究ではなく、仁科から取ったカタカナの「ニ」号なのだそうだ! わたしはそんなことも知らなかった!) というわけで、わたしとしても仁科のことを多少は知っていた、と言えなくもない。だ

    『励起 仁科芳雄と日本の現代物理学』を読む - HONZ
  • 『隆明だもの』父親は「戦後最大の思想家」 - HONZ

    全集は月報が面白い。月報とは、全集の各巻が刊行されるごとに差しはさまれる小冊子のこと。ようするに附録である。著者ゆかりの人物がエッセイでとっておきのエピソードを明かしていたり、著者の素顔について語られた座談会があったり、附録とはいえ内容は充実している。文学研究者のあいだでも、月報は作家の人となりを知ることができる貴重な資料とされる。講談社文芸文庫には月報だけを集めたラインナップもあるほどだ。 書は『吉隆明全集』(晶文社)の月報の連載をもとにしている。著者は吉家の長女で、漫画家・エッセイストのハルノ宵子。吉家は父・隆明、母・和子、長女・多子(さわこ:ハルノ宵子)、次女・真秀子(まほこ:吉ばなな)の4人家族で、書には、ばななとの姉妹対談もおさめられている。 吉隆明(1924年-2012年)といえば、戦後思想界の巨人として知られる。とくに団塊の世代には神のように崇める人が多い。そん

    『隆明だもの』父親は「戦後最大の思想家」 - HONZ
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    agrisearch 2024/01/18
    「吉本家は父・隆明、母・和子、長女・多子(さわこ:ハルノ宵子)、次女・真秀子(まほこ:吉本ばなな)の4人家族」「…スピリチュアルな能力とは、現代でいう”高機能自閉症”(サヴァン症候群)で…」
  • ヒトは自らを家畜化したのか 『キツネを飼いならす 知られざる生物学者と驚くべき家畜化実験の物語』 - HONZ

    作者: リー・アラン・ダガトキン,リュドミラ・トルート 出版社: 青土社 発売日: 2023/11/27 キツネの家畜化実験、ナショナルジオグラフィックなどで紹介されたりしているので、その驚くべき成果の概要をご存じの方も多いだろう。かくいう私も人並みならぬ興味を持ってこの壮大な研究を見つめてきたのだが、その裏で、研究成果にも劣らぬ人間ドラマがあったとはまったく知らなかった。主人公はふたり。ひとりはキツネの家畜化実験を考案し、1952年に始動し1985年に亡くなるまで従事し続けた遺伝学者ドミトリー・ベリャーエフ。もうひとりは、1958年から実際の飼育実験にたずさわった女性研究者リュドミラ・トルート―書の共著者でもある―だ。 うまくいく確証などまったくなかった、というよりは、無謀ともいえる研究だった。一般的に、動物の家畜化は長い年月をかけて少しずつ進むものだと考えられている。また、家畜化され

    ヒトは自らを家畜化したのか 『キツネを飼いならす 知られざる生物学者と驚くべき家畜化実験の物語』 - HONZ
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    agrisearch 2023/12/30
    「リュドミラ・トルートは現在90歳、その優れた業績から2020年には米国科学アカデミーの会員にも選ばれている。大学卒業から文字通り生涯をかけて取り組んだ素晴らしすぎる研究の記録」
  • 『富士山噴火に備える』「噴火スタンバイ状態」の富士山はどうなっているのか? - HONZ

    富士山噴火に備える 出版社: 岩波書店 発売日: 2023/2/21 万葉集が編まれた頃、富士山の頂上から噴気がなびいていた。つまり、当時の人々は富士山が「生きている」ことを知っていたのである。その後は何回も噴火を繰り返したが、最近の富士山はいたって静かである。 そして前回の噴火は江戸時代中期の1707年だから、日人は300年ほど富士山の活動を目撃していない(小山真人著『富士山』岩波新書)。 日最大の活火山である富士山は、現在「噴火スタンバイ状態」にある。もし近い将来に大噴火すれば、首都圏を含む関東一円に大きな被害を及ぼす恐れがある。実際、富士山は災害規模でも日一なのだ。 書は岩波書店の月刊誌「科学」に書かれた富士山の記事を編集したもので、火山学の最新知見とともにハザードマップの見直しや防災の課題などを一般読者向けに分かりやすく解説する。 第1部「富士山噴火に備える」、第2部「大噴

    『富士山噴火に備える』「噴火スタンバイ状態」の富士山はどうなっているのか? - HONZ
  • 『かがくを料理する』:「サイエンス×工作×料理」のおいしい世界! - HONZ

    かがくを料理する (Make:Japan Books) 作者: 石川 繭子,石川 伸一,加賀 麗 出版社: オライリー・ジャパン 発売日: 2023/9/27 先般、東京出張の折に、はじめてHONZの朝会というものに参加しました。HONZのメンバーが原則(少なくとも今回は)ひとり一冊、今読んでいる、あるいはこれから読もうと思っているを持ち寄り、そのに対する期待やおもわく(?w)について語る会です。 で、そのときHONZレビュアーの首藤淳哉さんが、『かがくを料理する』というを持っていらしたのです。 いえね、「料理の科学」みたいな路線のなら、わたしもこれまで何冊も読んできたんですよ。でも、「かがくを料理する」ってなんだろ??? って不思議に思ったのです。今どき科学と料理を結び付けて新しいを出すのなら、分子調理(分子ガストロノミー)方面の実践的入門書かな? とわたしは思いました。(実

    『かがくを料理する』:「サイエンス×工作×料理」のおいしい世界! - HONZ
  • 『遺伝と平等』刊行記念! 4年ぶりのリアル朝会を開催しました。 - HONZ

    祝!青木薫さん翻訳『遺伝と平等』発売! というわけで、HONZの「青木薫のサイエンス通信」でお馴染み、翻訳家の青木薫さんの翻訳新刊出版および『新版 科学革命の構造』が日翻訳家協会翻訳特別賞を受賞された記念に上京されました。トークイベントを開催されるなら、ついでにHONZメンバーと初お目見えしましょう!ということになり、なんと4年ぶりのリアル朝会が開催されました。 思い起こせば、朝会はコロナの間にZOOMで数回やった記憶がうっすらとあるんですが、久しぶりに会う面々は、変わっていないようないるような…。 しかし記憶は確実に衰えていて、会議室の入室の仕方から、スクリーンへの接続までもたつきました。その後は会議慣れしたメンバーがZOOM参加者ともスムースに会話ができるようにしてくれました。孤独に籠って仕事していた私なんか、まるで手品をみているようです。 とはいえ、いつも通りに朝会を開始。ルールは

    『遺伝と平等』刊行記念! 4年ぶりのリアル朝会を開催しました。 - HONZ
  • 『宗教の起源──私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか』 ダンバー数、エンドルフィン、共同体の結束 - HONZ

    ロビン・ダンバーは、彼が提唱した「ダンバー数」とともに、その名が広く知られている研究者である。ダンバー数とは、ヒトが安定的に社会的関係を築ける人数のことであり、具体的には約150と見積もられている。ダンバーは、霊長類各種の脳の大きさ(とくに新皮質の大きさ)と集団サイズの間に相関関係があることを見てとり、ヒトの平均的な集団サイズとしてその数をはじき出したのであった。 さて、そんなダンバーが書で新たな課題として取り組むのが、「宗教の起源」である。人類史において、宗教はどのようにして生まれ、どのように拡大を遂げていったのか。宗教に関する広範な知識に加えて、専門の人類学や心理学の知見も駆使しながら、ダンバーはその大きな謎に迫っていく。 ダンバーも言及しているように、現生人類の歴史のなかで、宗教は個人や社会に対していくつかの利益をもたらしてきたと考えられる。その代表的なものを5つ挙げるとすれば、(

    『宗教の起源──私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか』 ダンバー数、エンドルフィン、共同体の結束 - HONZ
  • 現在に至る種を広範囲にわたってまきつづけてきた悪魔的な天才──『未来から来た男 ジョン・フォン・ノイマン』 - HONZ

    アナニヨ・バッタチャリヤ (原著), 松井信彦 (翻訳) 出版社: みすず書房 発売日: 2023/9/21 この『未来から来た男 ジョン・フォン・ノイマン』はその名の通りジョン・フォン・ノイマンの伝記である。1903年生まれの1957年没。数学からはじまって、物理学、計算機科学、ゲーム理論、気象学など幅広い分野で革新的な成果をあげつづけ、史上最高の天才など、彼を称える言葉に際限はない。彼と同時代を生きた人物に、クルト・ゲーデルやアルベルト・アインシュタインなどそうそうたる人物が揃っているが、その三人すべてを知る人物も、フォン・ノイマンが飛び抜けて鋭い知性の持ち主だと思っていたと語る。 実際、それが誇張表現ではないぐらい彼が一人で成し遂げたことは凄まじかった。たとえば子どもの頃、フォン・ノイマンは古代ギリシャ語やラテン語をマスターし、母語のハンガリー語だけでなくフランス語、ドイツ語英語

    現在に至る種を広範囲にわたってまきつづけてきた悪魔的な天才──『未来から来た男 ジョン・フォン・ノイマン』 - HONZ
  • 『地球の変動はどこまで宇宙で解明できるか』地球環境を知るにはまず太陽を見よ! - HONZ

    わが国屈指の太陽物理学者が、太陽の活動が地球環境にどのような影響を及ぼすかを論じた入門書である。「宇宙気候学」を専門とする著者は、宇宙に目を向けながら過去から未来までの環境について、写真や図表をふんだんに使いながら丁寧に読み解いてゆく。 サブタイトルに「太陽活動から読み解く地球の過去・現在・未来」とあるように、太陽系の中心にある太陽は地球環境のすべてをコントロールしているからだ。なお書は第31回講談社科学出版賞受賞作でもある。 少し基から述べておこう。太陽系とは、太陽のまわりを回っている天体の集合のことを言う。中心には太陽があり8個の主要な惑星が太陽の巨大な引力のもとに秩序正しく天空を運行している。 太陽系では太陽だけが自ら光り(恒星)、膨大なエネルギーを放出している。それ以外の星はすべて、太陽の発するエネルギーを受ける星として、太陽光を反射して宇宙空間で輝いている(惑星)。 太陽系を

    『地球の変動はどこまで宇宙で解明できるか』地球環境を知るにはまず太陽を見よ! - HONZ