気候変動に対して極めて脆弱な果樹生産 農業は気象への依存度の高い産業であり、温暖化によってすでに大きなインパクトを受けている。水稲では白未熟粒混入による品質の低下、野菜では生育速度の変動による出荷時期のずれ、畜産では家畜の夏バテや熱中症による生産性の低下などが発生している。 農業の中でも果樹生産はとりわけ温暖化の影響を受けやすく、今年8月に公表された「農林水産省気候変動適応計画」でも、水稲と並んで果樹は重要な作目として取り上げられている。果樹が他の作目に比べて温暖化に対して脆弱なのは、もともと果樹は気候に対する適応性の幅が狭いためである。このことは水稲の栽培が北海道から沖縄まで広がっているのに対し、北のリンゴ、南のカンキツといったように産地が偏在し、青森のリンゴ、山形のオウトウ、福島のモモ、山梨のブドウ、愛媛のミカンなど、産地ブランドが明確であることからも分かる。