線型代数学における行列の定値性(ていちせい、英: definiteness)は、その行列に付随する二次形式が一定の符号を持つか否か (二次形式の定値性) と密接な関係を持つ概念だが、付随する二次形式を経ることなくその行列自身の持つ性質によって特徴づけることもできる。 この概念は対称行列およびエルミート行列に対して定義するのが通例であるが、そうではない行列を含むように「定値性」の概念を一般化して適用する文献もある。 正定値 n × n 実対称行列 M が正定値 (positive definite) であるとは、n 個の実数を成分に持つ零ベクトルでない任意の列ベクトル z に対して、二次形式 zTMz が必ず正となるときに言う。ここに zT は z の転置行列を表す。 より一般に、n × n エルミート行列 M が正定値であるとは、任意の非零複素ベクトル z に対して、z∗ Mz が常に正の