数学や物理学の知識がなくても読み進められる量子コンピューターの解説書です。量子の基本的な性質から量子計算の基礎、主要な量子アルゴリズムの仕組みまで、量子コンピューターの「今」が楽しみながら理解できます。また量子コンピューターのシミュレーターをつかった演習レッスンで、学んだことを実際に体験できるのも本書の特長です。 目次を見る
RSA暗号の共同発明で知られるアディ・シャミア教授(イスラエル・ワイツマン科学研究所)が2017年4月、国際科学技術財団から科学技術の進歩に大きく寄与した功績に送られる日本国際賞(Japan Prize)を受賞した。 受賞会見でシャミア教授は、約40年間の研究の経緯を振り返り、最近の研究事例としてIoT(インターネット・オブ・シングズ)のセキュリティに警鐘を鳴らした。量子コンピュータによる暗号解読の可能性や、日本の研究者への期待も語った。 日本国際賞は1985年にノーベル賞並みの世界的な賞を作ろうと創設された。シャミア教授は学術分野として暗号学を確立した功績が、受賞理由となった。情報を安全に保管できる「秘密分散法」や、秘匿情報に触れることなく個人を特定する「個人識別法」の開発のほか、共通鍵暗号を解読する「差分解読法」の発見などの業績で知られる。 「秘密兵器」から「暗号学」に RSA暗号は1
前回は、量子コンピュータの基本的な考え方である、0と1の重ね合わせ状態を使って高速計算を実現する方法と、量子コンピュータの一方式である「量子アニーリング」の動作原理について簡単に説明しました。今回は、量子コンピュータの動作をより直感的に理解することをめざして、エクセルVBAを用い、量子アニーリングの古典版である「シミュレーテッドアニーリング」というアルゴリズムを作ってみます。 普通のコンピュータが解けない問題とは? 第1回において、機械学習などの分野では、普通のコンピュータでは現実的な時間で解くことができない問題が多く存在し、そういった問題を解くことができる可能性を量子コンピュータに見出している、と説明しました。今回のテーマであるエクセルによる実装の前に、まずはこの“解けない問題”についてもう少し詳しく説明し、普通のコンピュータが“できないこと”とは何かを明確にしましょう。 まず、ここで言
カナダの商用量子コンピュータメーカーであるD-Wave Systemsは2015年8月20日(現地時間)、1000個を超える「量子ビット」を搭載する量子コンピュータの新モデル「D-Wave 2X」の出荷を開始したと発表した。同社はD-Wave 2Xが「組み合わせ最適化問題」を現行のコンピュータ(量子コンピュータではない「古典的コンピュータ」)よりも「最大で600倍高速」に解けると主張している。 D-Wave Systemsは、東京工業大学の西森秀稔教授と門脇正史氏が提唱した理論「量子アニーリング」に基づく量子コンピュータを、2011年から販売している(関連記事:驚愕の量子コンピュータ)。これまでの「D-Wave Two」が「0」と「1」の情報を重なり合った状態で保持できる量子ビットを512個搭載するのに対して、今回発表したD-Wave 2Xでは量子ビットを1000個以上搭載する。 超伝導回
量子コンピュータの可能性――量子テレポーテーションのパイオニア・古澤明氏に聞く:【再録】 ITmedia Virtual EXPO 2014 秋(1/5 ページ) 2014年9月30日に閉幕したITとモノづくりに関する日本最大級のバーチャル展示会「ITmedia Virtual EXPO 2014 秋」では、基調講演として、一部でノーベル賞候補として名前も挙がる量子力学の第一人者でもある東京大学の古澤明氏が登壇し、「量子コンピュータの可能性」について、最近の研究成果なども交えながら語った。この基調講演の模様を記事化した。 「夢のコンピュータ」と呼ばれる量子コンピュータ。常人には理解しがたい「量子力学」を応用したコンピュータであり、これまでの常識を覆すような性能を持つコンピュータとされる。同時に、量子コンピュータの実現には、とても大きな技術課題をいくつも乗り越えなければならない。そういった意
講義ノートの目次へ 量子コンピュータ・量子計算について勉強するための,講義ノートや教科書PDF。 基礎理論から,詳しく独学に使えるノートを集めた。 量子情報処理では「エンタングルメント」などの量子力学的なしかけを使い, 量子計算のハードウェア(=量子コンピュータ)を実現。 その上で量子暗号・量子フーリエ計算などの具体的なアルゴリズムを実行する。 ただし従来のコンピュータと違い, ハードとソフトがほぼ分離されていないので注意。 量子コンピュータは,世間に与えるインパクトが非常に大きいため, 専門外の一般向けの資料も多い。 ここでは下記の分類にしたがってPDFを掲載する。 (1)数式を使って,しっかり学習するための資料 (2)数式を使わない,一般向けの解説資料 量子計算の基礎となる量子力学はこちらのノート, 光学・量子光学はこちらのノート, 情報と暗号の理論はこちらのノート,線形代数はこちらの
NTTは、量子コンピュータの実現に向けた研究として、光格子内の100万個の原子に対して量子もつれを生成する新手法を世界で初めて確立した。 量子コンピュータは、複数の状態が“あり得る”量子的な重ね合わせ状態を用いることで、通常の演算ではあらゆる状態をひとつひとつ計算するよりも超高速で答えを導き出すことが可能となっている。演算や通信のためには、ある量子ビットが別の量子ビットに相関をもつ量子もつれ状態を作り出すことが必要だが、均一で大量な量子的もつれ状態を作り出すのはこれまでの手法では困難とされていた。
従来のコンピュータープロセッサの性能を大きく凌駕する可能性があるとされ、次世代コンピューターとして期待する声も高い技術が量子コンピューターです。GoogleもD-Wave社の量子コンピューター「D-Wave Two」の開発に参画していますが、先日実施されたD-Wave Twoの性能テストの結果が、従来の一般的なPCとほぼ変わらないものだったことが明らかになりました。 Google's quantum computer flunks landmark speed test - tech - 15 January 2014 - New Scientist http://www.newscientist.com/article/dn24882-googles-quantum-computer-flunks-landmark-speed-test.html#.UtiBCrTp-y8 性能テストには
2013年5月、商用の量子コンピュータが開発・販売された。カナダD-Wave Systemsの「D-Wave Two」だ。まだ数十年は先と思っていた技術が製品化されたのは衝撃的である。 D-Wave Systemsに採用している技術を問い合わせたところ、「量子アニーリング」の仕組みを使っているとのこと。これまで量子コンピュータとして研究されてきた「量子ゲート」方式とは全く違う方式だ。説明によると、汎用的な計算処理をするコンピュータではなく、組み合わせ最適化問題を解くのに絞った製品のようだ。組み合わせ最適化問題とは巡回セールスマン問題のような、数学でいうところの「NP困難」と呼ばれる問題である。特に人工知能や科学技術計算ではこうした問題を解く必要が出てくる。 ちなみに量子ゲートとは、従来のコンピュータの論理回路を量子力学の原理で置き換えるもの。「0」「1」で1ビットを表現してきたデジタル回路
東京大の古澤明教授らの研究チームが、光の粒子に乗せた情報をほかの場所に転送する完全な「量子テレポーテーション」に世界で初めて成功したと発表した。 論文が15日付の英科学誌ネイチャーに掲載される。計算能力が高いスーパーコンピューターをはるかにしのぐ、未来の「量子コンピューター」の基本技術になると期待される。 量子テレポーテーションは、量子もつれと呼ばれる物理現象を利用して、二つの光子(光の粒子)の間で、量子の状態に関する情報を瞬時に転送する技術。1993年に理論的に提唱され、97年にオーストリアの研究者が実証した。しかし、この時の方法は転送効率が悪いうえ、受け取った情報をさらに転用することが原理的に不可能という欠点があり、実用化が進まなかった。 光は粒子としての性質のほか、波としての性質を持つ。古澤教授らは、このうち効率がいい「波の性質」の転送技術を改良することで、従来の欠点を克服、これまで
通常言われる「量子コンピュータ」でイメージされているのは「通常のコンピュータよりも圧倒的に早い」というものであろう。もう少し詳しい人は「素因数分解を非常に早く行えるので、現在多くの通信で用いられている暗号が破られてしまう」というところまで知っているかもしれない。 ここで言われている「量子コンピュータ」は、私たちが普段用いているコンピュータと同様、数(01の数字列)の計算や処理を出来るように作られている。コンピュータは情報をすべて01のビットに変換して認識していて、それを処理することで膨大な計算をしてくれる。通常のコンピュータは、01には回路のオン/オフが対応しているが、量子コンピュータではこれを「量子ビット」と呼ばれるもので実現させる。 このようなものが通常言われる「量子コンピュータ」である。そして、量子コンピュータのアルゴリズムとして、素因数分解を非常に高速に行える「ショアのアルゴリズム
グーグルが先月、研究開発用に導入したD-Wave Systems社(本社カナダ)製の量子コンピュータ。前々回の本コラムでも紹介したように、これが本当の量子コンピュータなのかどうかは、まだ評価が定まっていない。 グーグルの発表後、僅か1、2週間の間にも、D-Waveが公開した実験データに対し、同社に懐疑的な研究者たちが「これは量子コンピュータではない」と反論し、それに対しD-Waveが逆に反論するなど、議論は紛糾している。それにしても、何故これほど揉めるのか? 量子力学の原理を計算に応用 その説明に入る前に、量子コンピュータとは何であるかを、もう一度簡単に説明しておこう。量子コンピュータとは、原子核や電子、素粒子のようなミクロ世界を支配する「量子力学」の基本原理に基づく、画期的なコンピュータだ。 予め断わっておくと、現在、私たちが使っているパソコンのような普通のコンピュータにも、ある意味で量
史上初の商業用量子コンピューター D-Wave 詳細 詳細 2013年5月27日(月曜)17:19に公開 作者: 松田卓也 要約 グーグルが最近D-Wave社の量子コンピューターを購入して、NASAのエームズ研究センターに設置したというニュースが流れた。量子コンピューターの研究者たちの意見では、量子コンピューターはまだ研究段階で実用化にはほど遠いと言われていたから、このニュースは驚きである。この会社の第一号機はアメリカの大手航空機会社ロッキード・マーチンに納入された。そして第二号機がグーグルに採用された。という事は、量子コンピューター学界の権威者たちが言うように、D-Wave社の量子コンピューターがインチキであると決めつけるわけにはいかない。そこで本エッセイではD-Wave社の量子コンピューターとはどんなものかについて報告する。 グーグルがNASAと共同で、量子コンピューターラボを開設 1
理化学研究所(理研)とNECは11月6日、量子ビットのエネルギー緩和率を増大することなく量子ビットの読出し信号を増大させる手法を実証し、量子ビットの読出し精度90%を達成したことを発表した。 同成果は理研基幹研究所 物質機能創成研究領域 単量子操作研究グループ 巨視的量子コヒーレンス研究チームの蔡兆申 チームリーダー(兼 NEC中央研究所 スマートエネルギー研究所主席研究員)らの研究チームによるもので、米国の科学雑誌「Physical Review B Rapid Communications」オンライン版に掲載された。 量子コンピュータの実現には、量子ビットの状態を正確に読み出す技術が不可欠で、超伝導体を用いた量子コンピュータ研究では、その有力候補に「分散読出し」がある。分散読出しは、量子ビットとLC共振器が結合した回路において、量子ビットの状態に応じて共振器の共振周波数が変化することを
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