ワールドスタンダードの鈴木惣一朗と、カーネーションの直枝政広。共に1959年生まれで、共通の趣味を持ち、共通の仲間に囲まれながら、なぜか共演の機会がなかった二人が、30年の時を経て遂に結成したユニット、それがSoggy Cheerios(ソギーチェリオス)である。評論家としても名高い二人だけに、果たしてどんなマニアックな音源が届くのかと思いきや、デビュー作の『1959』は、作詞作曲はもちろん、歌と演奏の大部分を二人で分け合った、実にフレッシュな作品となっている。お互いフィールドは違えども、同じ時代を共有し、出会うべくして出会っただけに、余計なコンセプトはなくとも、それぞれが辿ってきた濃密な道のりが自然と音に還元されるであろうことは、二人にとって自明の理だったのだろう。鋭い視点で現代の音楽を取り巻く状況を分析したかと思えば、好きなレコードの話になると途端に10代のようなテンションで話を始める