名匠・黒澤明監督の27本目の作品『乱』。巨額の製作費のため、なかなか製作のメドがつかずにいたが、ジャック・ベッケル、ルイス・ブニュエルなどの作品を手掛けたフランスのプロデューサー・セルジュ・シルベルマンからの申し出によって日本ヘラルドが協力し、製作費26億円をかけて完成。黒澤明が「人類への遺産」と語る本作は、第58回米国アカデミー賞衣装デザイン賞(ワダ・エミ)をはじめ、国内外で数々の賞に輝いた傑作として、今なお多くのファンに愛され続けている。 この度、リアルサウンド映画部では、『羅生門』でスクリプターとして参加して以来、黒澤明を支え続けた野上照代氏、ヘラルド・エースに所属していた井関惺氏にインタビューを行った。黒澤明監督の素顔から、製作の裏側まで、4Kデジタル修復版としてスクリーンに蘇る本作の魅力を語ってもらった。 黒澤明の集中力が生み出すエネルギー ――“プロダクション・マネージャー”と