「ひきこもり」という言葉が大きな注目を集めるようになったのは2000年前後。それから十数年。なぜ、今も多くの人がひきこもるのか。どう理解し、支えていけばよいのか。精神科医の斎藤環さんとともに、回復へのヒントを探ります。 ある青年の場合 きっかけは就職活動でのつまずき 新潟県に暮らす俊行さん(35)。6年間にわたるひきこもりから脱し、今、就労を目指しています。 中学・高校では「学級委員」を務めるなど人望がありスポーツも万能、たくさんの友達にも恵まれていた俊行さんがつまずくきっかけとなったのは、大学時代の就職活動でした。当時は「就職氷河期」。友人も皆就職活動で忙しく、また「心配をかけたくない」と思うあまり、家族にもSOSを出すことはできませんでした。 俊行さんは就職先が決まらないまま大学を卒業し、地元へと戻ってきました。23歳のとき「何とか正社員として働きたい」と考え、近所の小売店に“店長候補