「日本の食はすごい」説はどこから来たのか? この素朴な疑問に真っ向から答えられる人はほとんどいないだろう。 7月に出版された『〈メイド・イン・ジャパン〉の食文化史』(春秋社)は、いつしか日本を取り巻くようになった食の“日本礼賛”の出どころを探るため、明治以降の日本の食文化の足跡を丁寧にたどった力作。著者は&Mで「大御所シェフのいつものごはん」を連載中の編集者・食文化研究家の畑中三応子さんだ。 畑中さんは執筆中、調べれば調べるほど、日本の食料事情の脆弱(ぜいじゃく)さや、日本人の情けなさを思い知らされたという。それにもかかわらず、なぜ「日本の食はすごい」と思われているのか? 本書の中身をたどりながら、畑中さんと読み解いていく。 カイコのさなぎをベースにしたしょうゆも 衝撃の食事情「当店で使用している米はすべて国産米です」。飲食店でそんな但(ただ)し書きを見て、なんとなく安心してしまう人は多い