2020年4月1日,日本生殖医学会は会員(医師や胚培養士など)に対して「国内での COVID-19 感染の急速な拡大の危険性がなくなるまで,あるいは妊娠時に使用できるCOVID-19予防薬や治療薬が開発されるまでを目安として,不妊治療の延期を選択肢として患者さんに提示するよう」声明を出した.妊婦のCOVID-19が重症化する可能性があること,治療薬候補のアビガンには動物実験で胎児への副作用(催奇形性)が報告されており,妊娠中の女性に投与できないことなどから,不妊治療による妊娠が成立したあとのCOVID-19への対応に苦慮することが予想されるためである. 不妊症・不育症外来では 日本生殖医学会の声明を受けて,大学病院の外来でも説明を始めた.「不妊症や不育症の治療は不要不急だから」と説明したスタッフもいたが,「不要不急」という言葉には違和感を覚える.「不要」ではないことは確かであるし,「不急」