「選択的夫婦別姓」制度の導入に向けた法案が、28年ぶりに衆議院で審議入りしました。長年導入を求める声が挙がってきましたが、今国会では自民党が法案の提出を見送り、野党3党がそれぞれに法案を提出し1本化できない状況で、実現の見通しは立っていません。 そもそも、選択的夫婦別姓とはどのような制度なのか?現行制度の課題とは?「選択的夫婦別姓」制度に詳しい弁護士の寺原真希子さんに聞きました。 (TBSラジオ「荻上チキ・Session」5月15日放送分より抜粋) ■「選択的」夫婦別姓とは何か? 現行制度の問題点 選択的夫婦別姓とは、結婚する際に夫婦をいずれかの氏にするか、それぞれの氏を使い続けるか、選べるようにする制度です。寺原さんは「『選択的』とついているのは、いずれの選択肢もあるということ」と説明します。 現行の民法750条では、「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」と規定さ
現代の労働で問題になっていることの一つが「家事」です。共働きやリモートワークなど働き方が多様化し、専業主婦も減っているなか、悩みの種だという人も多いのではないでしょうか。 「労働」についてさまざまな議論を交わしてきた哲学者たちも、20世紀には家事労働の存在を問題視して取り上げています。たとえば、オーストリア出身の哲学者は、生活や社会の基盤を支えるために不可欠でありながらも無報酬の労働を、「シャドウ・ワーク(shadow work=影の仕事)」と定義しました。 長い間“無視”されてきた労働への評価は、社会状況にあわせて少しずつ変化しています。「労働」についての認識がどのように変わってきたのか――歴代の哲学者たちの考えをテーマ別にまとめた『哲学で考える10の言葉』(岡本裕一朗・著)より紹介します。 ※本稿は『哲学で考える10の言葉』を抜粋・再編集しています
割り算が絡むと、とたんに頭が混乱して計算ができなくなってしまうという人は多いのではないでしょうか。実際、四則演算のなかでは割り算が一番厄介で、さらに割り算と密接に絡む「割合」や「比」になると話の抽象度が一気に上がります。 大人のための数学教室を運営する堀口智之氏の著書『仕事ができる人がやっている「ざっくり計算力」を身につける』(青春出版社)から、“数学ギライ”な人でもわかる割り算の考え方を、一部引用・再編集してご紹介します。 「割り算・分数・割合・比」の意味を正確につかむまず割り算には必ず「割られる数(被除数)」と「割る数(除数)」があり、「割られる数のなかに、割る数がいくつ入るか」を計算するものです。 ------------------------------------------ 300÷5=300のなかに5がいくつ入るか (60個入るので答えは「60」) ------------
薄い受益感 他者への不信招く 日本において、平均的な所得階層であり、政治的多数派かつ主たる財源負担者である中間層の衰退が懸念されて久しい。厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、2018年の中位所得は、1992年の549万円から423万円に低下し、18年の平均所得(551・6万円)以下の所得しか得ていない世帯は62・4%に上る。また今後、育児や教育、医療や住宅などに関連する費用負担に加え、社会保険料・租税負担の増加に日本の中間層が直面することが予想されている。ここに新型コロナウイルスの感染拡大に伴う混乱が加わり、中間層の負担感、経済的不安の一層の高まりが予想される状況だ。 中間層の衰退は世界的な現象だ。経済協力開発機構(OECD)の19年の報告書によると、近年、OECD加盟国の中間層は、所得の低成長と生活コストの上昇、負債の累積、雇用の不安定化などにより疲弊してきた。それと並行して、他者
子どもができた労働者に対して育児休業の取得意向の確認を個別に行うことを事業者に義務づける、大企業に育児休業の取得状況の公表を義務づけるといった法改正が矢継ぎ早に実施されたことや、男性の育児参加に対する社会の関心が高まり、多くの企業が対応の必要性を感じるようになったことなどが、この進展の背景にあるのでしょう。 育児時間と労働時間に明確な関係はない けれども、他方ではこんなデータもあります。連合総研が2024年10月に首都圏および関西圏の勤労者2000人(20歳代~50歳代各400~500人ずつ、および60歳代前半約150人)を対象に実施した「第48回勤労者の仕事と暮らしについてのアンケート調査」によれば、「食事の用意」について、結婚している男性の43.5%が「ほとんど行わない」と回答し、結婚している女性の73.4%が「週に6~7日」行っていると回答しています。結婚している男性は「食料品や日用
賃金が年齢や勤続年数に応じて上昇する年功賃金は、日本の労働市場では広く一般的にみられる現象だ。そのため、終身雇用制、企業別組合とともに戦後の雇用慣行の特徴と位置づけられてきた。ではなぜ右上がりの賃金カーブが見られるのか。これまでの代表的な説明は、次の2つに集約される。 ひとつは、人的資本理論による説明だ。年齢が高く経験が豊かな労働者は、若くて経験が浅い労働者より仕事がよくできる(正確には労働の限界生産物の価値が大きい)。賃金は労働の成果に対して支払われるものだから、仕事ができるベテランの労働者の賃金の方が高くなる。 一方、2番目の説明は、賃金後払い説と呼んでいい。この説は、長期雇用の下では、若くて経験の浅い労働者は、自分の生み出す仕事の成果よりも少ない賃金で我慢させ、年齢が高くなり経験豊富になると、労働の成果よりも高い賃金を受け取るという支払方式が合理的だと主張する。 ひとつの大きな理由は
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あなたのお気に入りの哲学者を困らせたいなら、最近だと一番良い方法は、箱の上に乗った子どもたちのイラスト(「平等と公平」ミーム)を見せることだ。これを哲学者の苦しみの種というのは言い過ぎかもしれないが、哲学者の仕事を楽にしてくれないのは確かである。 哲学者のほとんどはこのイラストを見たことがあるが、それ以上に重要なのは、学生はみなこのイラストを見たことがあるということだ。それだけでなく、学生たちはこのイラストを持ち出せば議論を完全に打ち切れると考えている。学生らに言わせると、このイラストは「公平性(equity)」の正確かつ議論の余地ない定義を示しており、「平等(equality)」という道徳的理念を決定的に打ち負かしているのだという。そうすると、哲学者たちが未だに平等というテーマについて論ずべき問題があると考えている事態は、非常に謎めていて見えるだろう。 哲学者にとっては残念なことに、この
近年、一人っ子が増加している。国立社会保障・人口問題研究所が2021年に実施した「出生動向基本調査」によると、子どもを産み終えたとみられる夫婦(結婚から15~19年が経過)の子どもが1人の割合は、19・7%だった。1980年代から02年までは10%程度で推移してきたが、05年に11・7%へと微増。その後、10年は15・9%、15年は18・5%と増加し、約20年で1割から2割へと急増したことになる。 夫婦の子どもの人数別では、2人(50・8%)が最も多く、1人(19・7%)はそれに次ぎ、3人(18・6%)と0人(7・7%)、4人以上(3・2%)を上回った。かつては2人、3人、1人の順で多かったが、15年から2人、1人、3人の順となった。比較的珍しかった一人っ子はそうではなくなっている。
1995年、アメリカのマイクロソフトは「Windows95」を発売した。このソフトの大ヒットの影で、人生を大きく変えられた人たちがいる。読売新聞の人物企画「あれから」をまとめた書籍『「まさか」の人生』(新潮新書)より、日本語ワープロソフト「一太郎」の開発者、浮川初子さんのケースを紹介する――。(第1回) 日本語ワープロソフト「一太郎」大ヒットのその後 赤いパッケージに毛筆の書体で書かれた商品名。日本語ワープロソフト「一太郎」が、発売されたのは1985年8月28日だった。 34歳の時にこのソフトを開発した女性プログラマー浮川初子さんには、痛快な思い出がある。 1万円札を同封した現金書留の山、山、山――。ネット通販がなかった時代、ソフトの購入代金が郵送で届き、金庫に入りきらないほどになった。 一太郎は、日本語の文章をパソコンで書くという行為を当たり前にした国産ソフトだ。パソコンの職場や家庭への
子どもができた労働者に対して育児休業の取得意向の確認を個別に行うことを事業者に義務づける、大企業に育児休業の取得状況の公表を義務づけるといった法改正が矢継ぎ早に実施されたことや、男性の育児参加に対する社会の関心が高まり、多くの企業が対応の必要性を感じるようになったことなどが、この進展の背景にあるのでしょう。 育児時間と労働時間に明確な関係はない けれども、他方ではこんなデータもあります。連合総研が2024年10月に首都圏および関西圏の勤労者2000人(20歳代~50歳代各400~500人ずつ、および60歳代前半約150人)を対象に実施した「第48回勤労者の仕事と暮らしについてのアンケート調査」によれば、「食事の用意」について、結婚している男性の43.5%が「ほとんど行わない」と回答し、結婚している女性の73.4%が「週に6~7日」行っていると回答しています。結婚している男性は「食料品や日用
1962年神奈川県横浜市生まれ。東京大学経済学部卒業。日本経済新聞記者・編集委員を経て独立。学習院大学客員研究員、川村学園女子大学非常勤講師、NIRA総合研究開発機構プロジェクト・パートナーを兼務。主な著書に『ドキュメント銀行』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『新・公共経営論』(共著、ミネルヴァ書房)、『経済学の宇宙』(岩井克人氏の聞き手、日経ビジネス人文庫)、『経済学の壁』(白水社)、『データにのまれる経済学』(日本評論社)ほか。 ニュースな本 ビジネス・経済から、エンタメに教育、政治まで……。世の中には山のように書籍が存在する。その中から「読んでためになる」「成長できる」「思わずうなる」ような本を厳選してお届けする。話題の新刊から埋もれた名著まで、きっと素敵な発見があるはずだ。気になる記事があったら、ぜひ元の書籍を読んでみてほしい。 バックナンバー一覧 日本最大の労働組合の全国組
世界各地でいま、不平等が拡大している。不平等は経済成長を阻み、民主主義制度を弱体化させ、暴力や社会的不信を蔓延させる。それらは翻って、不平等を一層悪化させる。 長くこの悪循環を経験してきたラテンアメリカから、世界は何を学ぶべきか。また、どうしたら方向転換ができるのか。 豊富な事例研究が指し示す警告と、変革のための民主主義的提言。 本書から「訳者あとがき」の冒頭を公開します。 ※「第一章」の冒頭も公開しています。こちらから 訳者あとがき 本書は、Diego Sánchez‒Ancochea, The Costs of Inequality in Latin America: Lessons and Warnings for the Rest of the World (London: I. B. Tauris, 2021)の全訳である。著者は、コスタリカ出身の経済学者で、現在は英オクスフォー
虐待体験者が性産業で働く理由とその実態調査 女性ヘルプネットワーク, 2011.12 タイトル読み ギャクタイ タイケンシャ ガ セイ サンギョウ デ ハタラク リユウ ト ソノ ジッタイ チョウサ
婚姻減の環境要因出生数が減り続けているのは婚姻数が減ったからだ。 これに関しては、最近ようやく世間的に認知が広まっている。 婚姻が減った要因に大きくふたつの環境変化がある。ひとつには社会環境があり、これは簡単に言えば、昭和まであった「職場という疑似家族的共同体」の崩壊がある。これの詳細についてはこちらの過去記事を参照されたい。 参照→日本の結婚は30年前にはすでに詰んでいた。失われた社会的システム そして、もうひとつは経済環境である。 特に、2014年以降、明らかに「結婚するにも子どもを持つにも金が必要」という結婚に対する意識のインフレ化が進んだ。20代の若者が思う「結婚可能年収」は、2014年時点ではまだ379万円であったものが、それ以降右肩上がりに上昇し、最新の2024年では544万円にまで上昇した。実に2014年対比で約1.4倍である。 そして、実際の婚姻している男性の年収もその通り
”炎上”の経緯おさらいある高校3年生が、子どもの貧困に関するイベントで、当事者として発言した。 それをNHKが7時のニュースでとりあげた。 50万円の学費が工面できずに好きなデザイン系の専門学校に進学できないこと、家が貧しくてクーラーがないことなどが映し出された。 特に、視聴者に強い印象を与えたのが「1000円のキーボード」だった。 中学生のとき、パソコンの授業についていけなくなったとき、母親が「パソコンは買ってあげられないが」と買ってくれたものだったという。 ところがその後、彼女が好きな映画を6回見ていることや、7800円のコンサートチケットを買っていること、好きなマンガの関連グッズを買って「散財した!!!」と書いていることなどがツイッターの発言履歴からわかった。 “炎上”した。 国会議員の片山さつき氏がNHKに説明を求めた。 氏のツイッターによれば、NHKは「貧困の典型例として取り上げ
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