宮城県女川町中心部にあった「女川スーパーおんまえや」は同町唯一のスーパーマーケットだった。町中心部を襲った津波に店はのみ込まれ、役員と従業員計8人が帰らぬ人となった。 8人のうち、社長の佐藤佳世子さん=当時(63)=と専務の長女美和さん=当時(38)=は幹部従業員4人とともに客らを避難させて店に残り、会長の父盛広さん=当時(86)=、取締役の母せつさん=当時(83)=は店から約100メートル離れた自宅近くで、それぞれ犠牲になったとみられる。 <従業員に慕われる> 中学卒業後から店に勤める従業員木村明美さん(61)は自宅の仏壇に、佳世子さんの遺影を飾っている。「家族のように接してくれた。思い出は尽きない」としのぶ。 社長に就いた佳世子さんは、役職で呼ばれることを拒んだ。「佳世ちゃん」と多くの従業員に慕われた。 従業員の労をねぎらおうと、年末になると決まって木村さんらに生花を贈った。「