東京生まれの在日コリアン3世の評論家、林晟一さん(41)が、自らの人生を重ねた在日史を刊行した。慶応大でリアリストの国際政治学者、田所昌幸さん(67)に博士課程まで指導を受けたという。在日コリアン論の書き手は、歴史学や社会学系が多いなかで異色の存在だ。「何者?」。話を聞きに行った。 「在日って、なんで日本にいるんだっけ? 韓国って、日本が植民地にしてたんだっけ……?」。2001年の冬、ぼそっと恋人に問われたという。林さんが、在日コリアンをテーマにした映画「GO」を一緒に映画館で見た後のこと。「普通の人の認識はそんなものだし、傷つきはしませんでしたが……」。東京・阿佐ケ谷の居酒屋で、もつ焼きをつまみながら、20年以上前の出来事を私にこぼした。 「GO」を見たときは、窪塚洋介さん(44)演じる主人公の絶叫に感情移入し、上映中に泣きはらした。「(日本人が自分を)在日って呼ぶってことはなあ、俺がい