>>前編より続きます その後小酒部さんは、労働局の相談窓口に出向いた。彼女と会社側との意見の相違は、労働審判に発展した。「どこかもっと早い時点で、『行き違いがあったね』と謝ってほしかった」というのが、小酒部さんの本音だ。 マタハラの被害は埋もれやすい。なぜなら、女性が妊娠中であれば余計なストレスを抱えたくない気持ちが働き、泣き寝入りになりがちで、流産してしまえばそのショックで闘う気力を失うケースが多いからだ。 労働審判などにより解決金が得られると、企業側からはバーターとして「口外禁止」の誓約書を交わされる。その解決金も、給与の半年分が相場になっており、「失業」の対価としては不十分だ。不法行為が漫然と行われていても、厚生労働省による企業名の公表は今まで1社たりとも実施されていない。 それでも、「そのままでいれば、マタハラもなかったことにされる。会社との間では“自己都合退職”と強要されたものを