私たちは世界共通語として英語を学ぶよう教育されているが、その方針は正しいのだろうか。確かに英語を母国語とする人口は中国語の次に多いため、共通語として相応しいのかもしれない。だが、言語学的に見て英語は理解しやすく、合理的な言葉なのだろうか。 『驚くべき日本語』で、著者のロジャー・パルバースは、日本語こそ世界共通語に相応しいと主張する。著者は母国語の英語以外に、ロシア語、ポーランド語、日本語を話す作家で、半世紀近くも日本に住んでいる。大島渚の『戦場のメリークリスマス』では助監督を務め、大江健三郎の講演では通訳もこなした。 著者が日本語を推す理由は、少ない語数で豊かな表現が可能な点にある。名詞は「てにをは」を使うだけでどんな格にもなれるし、動詞や形容詞も様々な品詞に変化する。 例えば「言う」という動詞は、言い合う、言い出す、言いふらす、言い返すなど、様々な意味の言葉に変化する。「食べる」という動