日本語で「ありがとう」と書いてある、生まれて4か月ほどで亡くなったムスリムの子供の墓(山梨県甲州市で) 日本では、お墓に入れない――。 国内に数多く暮らすイスラム教徒(ムスリム)が、墓不足に悩んでいる。教義で定められた土葬を禁止する条例や地域の反対で、新たな墓地の確保が難しいからだ。永眠の地をめぐるムスリムの悩みは深い。 2006年、札幌市のムスリムの男性が亡くなり、妻と幼い子ども3人が残された。ムスリムの友人らが、北海道余市町の霊園に交渉の末ようやく了承してもらい、遺体を埋葬した。その年、福岡県のムスリムの夫婦が流産した赤ちゃんの遺体をはるばる運び、同じ霊園に埋葬した。夫婦は、泣いて喜んだという。 山梨県甲州市郊外の曹洞宗寺院・文殊院は、数少ない受け入れ先の一つだ。一画にある「イスラーム霊園」には、4800平方メートルの土地に約120基のムスリムの墓が並ぶ。どれも土葬だ。 ここは、文殊院