アニメの「絵コンテ」が書籍やビデオグラム特典となり、接する機会が増えた。そのわりに、意外と本質は知られていないのではないか。高畑勲監督の絵コンテが「人体や顔をマルで略し、どちらを向いてるかチョンと描く」という通称「マルチョン」であることが、特別であるかのように語られていたのを読んで、そう思った。漫画のようにコマ単位の絵の良し悪しで絵コンテが評価されているとすれば、それは違うのではないか。 原因の根本は、1984年にアニメージュ文庫(徳間書店)として発刊された「風の谷のナウシカ 絵コンテ」(全2巻)にある。あれがスタンダードだと思われて、ラフなものに違和感が出たのだろう。同書は「映画の設計図」としての価値も高く、絵コンテの存在を広く世に知らしめるきっかけとなった。教育用に書かれた用語解説「アニメーション画面処理について」でカメラワークと撮影処理も図解入りで手短にまとまっていて、スタジオという