Q SKIPは東急電鉄が2023年8月から実証実験としてスタートしたサービスで、2024年8月で開始から約1年が経過した。世田谷線と東急新横浜線の新横浜駅を除く各駅で利用可能だ。同社によれば、Q SKIPは企画乗車券の「東急線ワンデーパス」を中心に多くのユーザーが利用し、数値は非公表であるものの想定以上の売れ行きだという。 では、なぜ東急電鉄はQ SKIPでクレジットカードのタッチ機能による乗車を休止するのか。システムエラーなどで乗車できない人がいたのだろうか。
![東急電鉄がQ SKIPの乗車方法をQRコードに一本化、クレカタッチ乗車を休止する理由](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/4651dc14728feeb57e5608a2bbcc2419ac061fd8/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fxtech.nikkei.com%2Fatcl%2Fnxt%2Fcolumn%2F18%2F00001%2F09632%2Ftopm.jpg%3F20220512)
図1 以前に購入したUSBケーブルが10本や20本は自宅に眠っているという人は多いだろう(左)。規格の表示がなく、ケーブルを整理する際に困ってしまう(右) 最近のUSBケーブルは、端子部分に規格を示すマークが表示されている製品もあるが、多くのケーブルは、いまだデータ転送速度や給電のワット数に関する表示がなく、規格を判断する方法がない。パッケージから取り出してしまうと、外見ではケーブルの見分けがつかず、仕様を確認するために、ストレージを接続して転送速度を実測したり、スマホなどに接続して充電時間を計測したりするのでは手間が掛かる。 LEDの点灯で仕様を確認 そこで活用したいのが、USBの規格や給電の性能を確認できる「USB CABLE CHECKER 2」だ(図2)。本製品でチェックできるのは、パソコン側に接続する端子がType-AまたはType-Cで、周辺機器側の端子がType-C、Micr
FTQC(誤り耐性のある汎用量子コンピューター、Fault-Tolerant Quantum Computer)とは、量子誤り(エラー)訂正の仕組みを取り入れた量子コンピューターのことである。計算中に誤りが発生しても訂正できるため、正確な計算が可能になり実用性が高まる。 量子コンピューターによる計算は、量子ビット(qubit)が持つ性質である「量子重ね合わせ」と「量子もつれ」の特性を利用する。量子重ね合わせは1つの量子ビットで「0」と「1」の情報を同時に表現できる性質のことだ。一方、量子もつれは2つ以上の量子ビットが相関し、1つの量子ビットを観測すると、ただちに他の量子ビットの状態が確定する性質である。量子コンピューターはこれら2つの性質を用いて高速に計算を実行できる。 ただし量子コンピューターで利用する量子ビット(物理量子ビット)は不安定で、わずかな温度変化や振動などで誤りが生じる。その
2024年5月、Raspberry Pi財団が公式にリモートデスクトップサービス「Raspberry Pi Connect」のベータ版をリリースした。Webブラウザーベースという点が大きな特徴だ。ローカルネットワークはもちろんのこと、外部ネットワークからアクセスもできる。今回は2024年5月時点のRaspberry Pi Connectの使い方と使用感を紹介しよう。 Raspberry Pi OS標準のVNC 「Raspberry Pi OS」でリモートデスクトップといえば、Raspberry Pi OS標準でインストールされているVNC(Virtual Network Computing)を想像するのではないだろうか。過去にVNCを使ったことがある読者も多いことだろう。 2023年にリリースされたRaspberry Pi OSの「Bookworm」では、ウインドーシステムが「X Wind
日本IBM出身者が、ユーザー企業のCIO(最高情報責任者)やCDO(最高デジタル責任者)などデジタル部門のトップに就任する例が増えている。化学や保険、商社など業種を問わず起用されている。経済産業省と東京証券取引所などが選定する「DX銘柄」に選ばれた旭化成や双日など、DX(デジタルトランスフォーメーション)先進企業として認知されている企業も多い。アシックスのように日本IBM出身CDO・CIOが社長に就任するケースも出てきた。日本IBM出身のCIO/CDOによるDXの先導を期待する日本企業が増加しているようだ。 「人を動かす力のある人材を意識的に育ててきた結果だ」。IT業界の動向に詳しい調査・コンサルティング会社アイ・ティ・アール(ITR)の内山悟志会長兼エグゼクティブ・アナリストは、日本IBMがCIO/CDOを数多く輩出している背景をこう分析する。 上の表は、近年、日本IBM出身のCIO/C
DNN(ディープニューラルネット)などの機械学習モデルの訓練に使えるデータが少ない時に重宝するのが転移学習である。関連するタスクのデータで学習させたモデル(ソース)を利用して、目的とするモデル(ターゲット)の性能を、データが限られる場合でも高めることができる。 統計数理研究所(統数研)は、少量のデータを最大限に有効活用できる新しい転移学習の手法「アフィンモデル転移」を提案した。論文が2023年12月開催の機械学習関連のトップ会議「NeurIPS」に採択されており1)、注1)、有効性は学会の折り紙つきである。 注1)論文の筆頭著者の南俊匠氏は、2024年1月から産業技術総合研究所に所属している。アフィンモデル転移の応用研究などは統数研で継続する予定である。 最大の特徴は、特定の条件下で最適なモデルを構成できることだ。対象は損失関数に平均2乗誤差(MSE)を使う回帰タスクで、ソースモデルは修正
NTT東日本とNTT西日本(NTT東西)は2024年1月31日、固定電話サービス用のネットワークをIP(Internet Protocol)網に全て移行したと発表した。「03(東京23区)」などの「0AB~J番号」と呼ばれる電話番号を使う固定電話サービスにおいて、IP技術を応用して提供する仕組みに切り替えた。 従来の固定電話サービスのネットワークは公衆交換電話網(PSTN:Public Switched Telephone Network)▼と呼ばれ、電話交換機が発信側と着信側の間に1本の回線を割り当てることで通話を実現していた。今回の切り替えによって、NTT東西が「変換装置」と呼ぶ機器で音声をIPパケットに変換し、IP網で中継して通話する仕組みとなった(図1)。100年以上続いてきた日本の固定電話の仕組みが一変したことになる。
「普段からの言葉遣いも見直すことが推奨されます。リーダーは、『もうかるのか』『できるのか』『誰がやるのか』『事例はあるのか』などの言葉ではなく、自分事として自分で戦略を描き、実行する、勉強する、調べるなど、自分で『する』ことが重要です」 2023年に読んだ中で最も共感した指摘である。発言者はガートナージャパンの亦賀忠明ディスティングイッシュト バイス プレジデント アナリストで、2023年12月13日に発表された「Gartner、2024年に向けて獲得すべきマインドセットを発表」というニュースリリースに出てくる。 17点のマインドセットが挙げられている長い文章だが全文公開されており、上司から「もうかるのか」「できるのか」などと問われた人へ一読をお勧めする。 似たような言葉はいくらでも思い付く。「早くできないか」「安くならないか」「あれと一緒にできないか」「絶対に安全か」など。リーダーにせよ
産業界が、量子技術に目を向け始めた。その応用技術に量子暗号、量子センサー、量子コンピューターがある。ただし、いずれの応用技術もまだ普及期にはなく、主に研究開発用途で導入が進む黎明(れいめい)期にある。 産業化向けてやっと進み始めたこれらの技術に対してスイス国内には10~20年前から取り組むベンチャーが存在する。前回の記事で述べたように、スイス政府は将来にインパクトをもたらす基礎研究を支援し、その成果をベンチャーとして外部に出して産業化するというプロセスを重視している。このスイスのエコシステムがうまく回っていることが、スイスの量子技術関連のベンチャーの姿を見るとよく分かる。 本稿では、記者が現地で訪問した、量子計測装置を開発・販売するZurich Instrumentsの量子暗号通信装置で有名なID Quantique(IDQ)、量子センサーチップや同チップを使った計測機器を開発・販売するQ
飛島建設と国際緑化推進センターは共同で2022年12月1日、液状化対策として地中に打設した丸太が約10年間、劣化せずに健全な状態で炭素を貯蔵し続けられたことを実証した。千葉県木更津市内で2013年に実証実験として打設した丸太の掘り出し調査を実施して確認した。
中日本高速道路会社が岐阜県本巣市内に整備している東海環状自動車道の高架橋で、橋脚1基を設計よりも短く施工していたことが分かった。測量ミスで基礎を設計よりも高い位置に造ったと気づいた施工者のTSUCHIYA(岐阜県大垣市)が、上端の位置を合わせるため柱部を短くしていた。中日本高速が2022年1月11日に明らかにした。 TSUCHIYAは契約金額約7億円、20年6月~22年5月の工期で、東海環状道の見延第二高架橋など3橋の下部工事を担当している。 ミスがあったのは、同社が施工する計16基の橋脚のうち、見延第二高架橋の内回り側のP5橋脚だ。上端から下端までの長さを、設計よりも約0.7m短い11.3mとしていた。上端の高さは設計通りだが、根入れ深さが不足した。同社の現場代理人が21年12月8日、中日本高速の監督員に報告した。 中日本高速は、橋脚の安全性や長期耐久性を確認できないと判断。問題の橋脚を
三井住友建設は2023年11月8日、同社が国内で施工中の大型建築工事で計534億円の損失を計上するに至った原因について、第三者委員会がまとめた調査報告書の概要を公表した。同委員会は、難易度が高い地下工事における工法・工期の検討や懸念事項の共有などが不十分だった点や、工場製作部材の図面作成に関する見通しの甘さや体制の不備などを指摘した。 三井住友建設の第三者委員会がまとめた調査報告書の概要の一部。技術的側面の検証は、日本大学の福井剛教授、芝浦工業大学の志手一哉教授が担当。ガバナンスや内部統制面は森・濱田松本法律事務所の藤原総一郎弁護士が検証した。トータルアドバイザーとして、郷原総合コンプライアンス法律事務所の郷原信郎代表弁護士が調査結果の評価を担当した(出所:三井住友建設) 三井住友建設は、施工中の国内大型建築工事で22年3月期に219億円、23年3月期に315億円もの工事損失を計上している
半導体の微細化による性能向上に陰りが見える中で、それに代わる技術として注目されている技術が「チップレット」だ。正確にいえば、チップレットは機能を分割した小さなチップそのものを指す。製造プロセスの世代や機能が異なるチップレットをブロックのように組み合わせて、あたかも1つのチップのように扱えるようにする技術が今後の先端半導体で重要になってくる。 近年、製造プロセスの微細化は、技術的な障壁が高くなってきたことに加えて、設備投資が莫大になっている。それによって、競争に参加できる企業は世界に数社だけになった。そこで、微細化に代わって半導体を高性能化する新しい技術が求められている。チップレットはその1つだ。チップレットにすることで、処理能力が必要な部分だけ最先端プロセスで製造し、入出力などそこまで性能が求められない部分は信頼性の高い古いプロセスで製造する、ということが可能になる。 このように複数のチッ
量子コンピューター向けソフトウエアを開発するQuemix(キューミックス)。材料シミュレーションの世界でメジャーをとるソフトウエアの開発を目指す。研究者でもある「盟友」が編み出したアルゴリズムが切り札だ。 「材料シミュレーションの分野では、主要なソフトウエアは全て外国製で占められている。これからの量子コンピューターの世界でメジャーをとれるプロダクトを生み出したい」。Quemix(キューミックス)のCEO(最高経営責任者)を務める松下雄一郎はそう力を込める。 Quemixは材料シミュレーションと量子コンピューターの技術に強みを持つスタートアップで、量子化学計算の研究者ら博士号取得者が多数参画している。既存のコンピューターを活用した材料シミュレーションソフトQuloudをクラウドで提供する傍ら、量子コンピューターで稼働するシミュレーションソフトの開発を進めている。 実は、Quemixはクラウド
クアルコムは自社半導体のAI処理性能を大きく高めている。写真はスマホ向け半導体製品「Snapdragon 8 Gen 3」(写真:日経クロステック) エッジAI(人工知能)の普及に向けて、米Qualcomm(クアルコム)が半導体で攻勢をかけている。AI処理に適した演算処理回路を徹底して強化し、CPU(中央演算処理装置)では英Arm(アーム)ベースの独自品を開発した。その一方、アームの対抗馬で、設計の自由度が高い「RISC-V(リスクファイブ)」ベースの半導体開発にも力を注ぐ。 クアルコムが2023年10月下旬に発表したスマホやノートPC向けの半導体製品は、いずれも大規模言語モデル(LLM)をオンデバイスで実行できる点が特徴だ。その実現に向けて大幅に性能を高めたのは、「NPU(ニューラル・プロセッシング・ユニット)」と呼ぶ演算処理回路である。 スマホ向け半導体製品「Snapdragon 8
ISSから乱数列を地上局に伝送し、運用室で暗号鍵を生成する。それを地上の管制局を介してISSと共有する仕組みだ(出所:NICT、スカパーJSAT) 同社は2023年8月7日、この実験に使用する光通信用装置の打ち上げ成功を発表しており、同年9月14日に実験を開始。2024年2月末まで実証を行う予定だ。 今回の実証では、ISSからデータの暗号鍵を生成するための乱数列を光通信で伝送し、地上側でそれを受信して共有できるか、通信用のレーザー光はどの程度の強度が必要か、などを検証するのが目的だ。 これはスカパーJSATが2018年6月より総務省から受託中の研究開発案件「衛星通信における量子暗号技術の研究開発」の一環で実施しているもの。5年間の最終年度である2023年度で目指しているのは、超小型衛星にも搭載可能な機器の開発や、盗聴・改ざんが極めて困難な衛星通信をするための技術構築である。 ただし、今回は
大規模言語モデル(LLM:large language model)をロボットの行動生成AIに応用する試みが、新たなフェーズに入ってきた。 LLMのロボットアームへの応用についてはここ1~2年、米グーグルが活発に取り組んでおり、「SayCan」1)や「RT-2」2)といった技術を先駆的に開発。この領域をリードしてきた。しかし、今回はグーグルからではなく、米Stanford Universityから、これまでと異なる斬新なタイプのLLM応用技術が出てきた。 SayCanやRT-2のような技術は、これまで難しかったロボット動作の上位のプランニングに1つの突破口を切り開いた。ネット上で集めた膨大な知識を基にユーザーの言語指示を適切に解釈し、よりローレベルの動作や命令列にブレークダウンできるようにした。一種の“コンパイラ”のようなものである。最近では、LLMのマルチモーダル化が進み、LLM自体がカ
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