恋人や配偶者からの暴力(DV)に悩む人は多い。これまで、「女性は被害者」というイメージが強かったDVだが、最近は男性の被害者が増えている。男性が被害者になる場合、社会的な立場などを気にして泣き寝入りせざるを得ないケースも多い。相談窓口もまだ少なく、被害者が孤立しがちな課題もある。 家にいられない夫「家にいるのが怖くてたまらない」。東京都内に住む30代の男性会社員は、妻と別居する2年前まで、妻から殴る、蹴るの暴力を日常的に受けていた。「リモコンの位置が違う」「すぐに返事をしなかった」など、きっかけはほんのささいなこと。しかし、妻は一度、気に障ることがあると、感情がセーブできず、血が出るまで暴力をふるうこともあった。 「このままでは危ない」。男性は妻と極力顔を合わせないようにと、会社が終わっても終電近くまで漫画喫茶などで時間をつぶした。妻が寝静まったのを見計らって家に入り、自分の寝室のドアの前