ブックマーク / www.newsweekjapan.jp/reizei (31)

  • 「サイエンスは暗記物ではない」ノーベル賞物理学者、真鍋博士の教育論

    気象学のような「古典物理学」がノーベル賞で評価されるのは珍しいという(昨年12月に米ワシントンで受賞メダルを受け取る真鍋博士) Kevin Lamarque-REUTERS <大学入試対策の結果として、日では文系志望の学生が物理、化学を敬遠するようになってしまった> 大学入試の季節がやってきました。今年の場合は受験生にとっても、実施側の大学にとっても、寒波とコロナ禍への対応が特に大変だと思います。大学入試と言えば、ノーベル物理学賞を受賞された真鍋淑郎博士と対談した際に、博士が入学試験や科学教育について語っておられたことが気になっています。 この対談では「問題を提起する能力が日教育には必要」だという議論がされて、このメッセージを中心に朝日新聞の記事でも取り上げられています。 記事の中でも真鍋博士が「入学試験のための勉強」を批判されているコメントが紹介されていますが、対談の中ではもう一つ

    「サイエンスは暗記物ではない」ノーベル賞物理学者、真鍋博士の教育論
    arakik10
    arakik10 2022/01/15
    大学入試は学力を計ってない(と京大で習った)し、入試は「制限時間内で解く正解が必ず存在するクイズ」なので、未知に立ち向かうサイエンスの真逆。大学以降の学びなおしが大事。https://arakik10.hatenadiary.org/entry/20130119/p1
  • 真鍋淑郎博士のノーベル賞受賞報道、2つの疑問 | プリンストン発 日本/アメリカ 新時代 | Newsweek

    <地球温暖化理論の事実上の提唱者である真鍋博士の受賞という快挙なのに、背景にある気象研究に関して日の報道があまり盛り上がらないのはなぜなのか?> プリンストン大学では、多くの関係者がノーベル賞を受賞したことで、華やいだムードになっています。金属元素を含まない「有機分子」を触媒として使うことで、左右対称でない分子を作るなど「不斉有機触媒」の開発をしたデイビッド・マクミラン教授が化学賞を受賞しました。また「最低賃金の導入」などを自然実験のように見立てて進める経済学を提唱した3人の経済学賞受賞者のうち2人は同大の出身です。 フィリピンのドゥテルテ大統領を批判し続けるなど、勇気あるジャーナリズム活動で平和賞を受賞したマリア・レッサ氏も同大卒業生です。なかでも、現在は同大の上級研究員である真鍋淑郎博士の物理学賞受賞は、温暖化理論の事実上の提唱者ということもあり、大きな話題になっています。 この真鍋

    真鍋淑郎博士のノーベル賞受賞報道、2つの疑問 | プリンストン発 日本/アメリカ 新時代 | Newsweek
    arakik10
    arakik10 2021/10/13
  • クルーズ船対応に見る日本の組織の問題点──権限とスキルの分離が組織を滅ぼす

    <心理面や関係性をコントロールすることで組織を動かそうという手法は世界中にあるが......> 横浜港に入港中のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」号について、神戸大学の岩田健太郎教授が投稿した動画が話題になりました。船内における防疫体制が不十分だという動画の指摘が、様々な波紋を投げかけたからです。 この動画については、約1日半後に削除されていますが、その一方で岩田医師が船内で活動するのを手助けしたという、高山義浩医師のコメントも話題になりました。高山医師は、 「『DMAT(災害派遣医療チーム)として入る以上は、DMATの活動をしっかりやってください。感染管理のことについて、最初から指摘するのはやめてください。信頼関係ができたら、そうしたアドバイスができるようになるでしょう』と(岩田医師に)申し上げました。」 「いきなり指導を始めてしまうと、岩田先生が煙たがられてしまって、活動が続けられ

    クルーズ船対応に見る日本の組織の問題点──権限とスキルの分離が組織を滅ぼす
    arakik10
    arakik10 2020/02/24
    "未経験の危機、しかも人命に関わる危機を管理しなくてはならない、そのような極限的な場において「正しいだけでは動かない」という組織の弱さを露呈してしまうというのは、これは組織の作り方に問題がある"(p.2)
  • 今の韓国との関係は45年前の危機に比べればまだコントロール可能

    <金大中拉致から朴正煕暗殺未遂へと続いた流れで対日不信が高まった、74年当時の日韓関係を振り返って見ると......> 日韓関係が悪化しています。日韓国の多くのメディアは、日韓関係は最悪だという表現をしていますが、私は少し違うと思います。45年前の1974年に日韓が陥った状況は、この程度のものではありませんでした。 今回の危機は、いわゆる戦後補償の請求権の問題に始まり、それが貿易手続きの問題、さらには安全保障の問題と論点が重なってきています。その点だけ見れば、関係の悪化が深まっているように思われますが、74年の場合は違います。論点が重なったのではなく、関係を悪化させる事件が3つ重なり、そのために両国関係が完全に立ち往生したというのが74年の状況でした。 事件の1つ目は、その前年、1973年8月8日に発生した金大中事件でした。後に韓国大統領となって通貨危機を収拾することになる金大中は、こ

    今の韓国との関係は45年前の危機に比べればまだコントロール可能
  • 日本にはびこるブラック校則、その原因と対策を考える

    戦後の教育現場で続いた社会への不信が、日が活力を失ってきた歴史と重なる Milatas/iStock. <理不尽なルールへの従属を強制する「反教育的」制度は、日経済の停滞傾向が顕著となった今、放置しておくことはできない> 子どもの貧困への支援を行なっているNPO法人キッズドアの渡辺由美子理事長が発起人となり、評論家の荻上チキ氏、勝間和代氏などが賛同者として名前を連ねている、「ブラック校則をなくそう!」プロジェクトの活動が話題になっています。 この問題、取り組むのが遅すぎるくらいですが、今度こそ多くの世論を動かして実際の成果に結びつけていって欲しいと思います。そのためにも、あらためてこの「ブラック校則」について「何が問題か?」という評価と、「なぜ廃止できないのか?」という原因についてあらためて確認したいと思います。 まず何が問題か、ということです。確かに「地毛を黒く染めさせるのは傷害行為

    日本にはびこるブラック校則、その原因と対策を考える
    arakik10
    arakik10 2019/09/12
    p.2"理不尽な攻撃を受ける可能性があるから、理不尽なまでに防衛的にならざるを得ない、ブラック校則が残っている現実の背景にあるのは、そのようなメカニズムかもしれません。"
  • 上野千鶴子氏の「報われない社会」スピーチで東大は変われるか?

    <新入生の女子学生の割合が2割に満たない東京大学が、「世界大学ランキング」を気にすることなど問題外> 4月12日に行われた東京大学の入学式で、名誉教授の上野千鶴子氏(ジェンダー研究)が述べた祝辞が話題になっています。上野氏は、複数の医科大学で女子が不当な差別を受けていた入試不正問題に言及しつつ: 「がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています」 「がんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったことを忘れないようにしてください」 というメッセージを発信して、東大の新入学生における女性比率が「2割の壁」を超えないばかりか、今年の比率は前年の18.2%から下がっている(一部報道によれば16.9%)事実を指摘しました。 お断りしておきますが、私は上野氏とは、経済社会に関する見方はかなり異なります。ですが、上野氏がジェン

    上野千鶴子氏の「報われない社会」スピーチで東大は変われるか?
  • グローバル人材を育てるにはどうしたらいいのか?

    「最もイノベーティブな子ども」は学校においては「能力計測不能」の「モンスター」としてしか登場しようがない。でも、文科省や経産省の役人たちは「モンスター」については何も考えていない。何の指示も出していない。だから、教師たちは「モンスター」が出現したきたら、青くなって潰しにかかるはずである。 面目躍如と言っていいでしょう。この後の部分で、内田氏は「学校教育で潰されなかったとしたら、その半分は帰国子女だ」などとも言っています。実際に帰国子女を送り出す側の私には全く笑えない話ですが、ある部分では残念ながら深く納得させられるものがありました。 ですが、これに続く内田氏の提言は余りに抽象的で、無力感すら漂う感じなのです。例えば「学校教育の目的は金が稼げる知識や技能を習得させることじゃない」と言う以外に「計測不可能」な能力を持つ子供たちを学校教育に引き戻す言葉はない、とか、「学校教育の目的は次世代を担う

  • 水道民営化、アメリカでは実際に何が起きたか | 冷泉彰彦 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

    <日の水道民営化議論は、地方自治体が設備維持コストに耐えられないという状況から出てきたが、先行したアメリカの例を見れば、経済合理性のなかで維持コストが利用者に転嫁されることは明らか> 水道の民営化という議論が進んでいます。この民営化を含む「水道法改正案」がすでに2017年に立案され、2018年7月22日に閉会した国会でも審議されました。この国会では成立しなかったのですが、秋の臨時国会で再び審議される見通しだと言われています。 アメリカはこの水道民営化が世界でも先行した地域です。17~18世紀の開拓時代には、それぞれの入植地や市町村が水道を建設していたのですが、19世紀の後半から民営化の動きが進んだからです。 同時に広域化も進みましたが、そんな中から全米最大の「民営水道会社」であるアメリカン・ウォーター(AW)が出てきました。AWは水道と電気供給の企業として1880年代に設立され、その後1

    水道民営化、アメリカでは実際に何が起きたか | 冷泉彰彦 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
    arakik10
    arakik10 2018/07/29
  • 共謀が罪なら、忖度も罪なのか?

    <共謀罪の法案が国際テロを未然に防止する趣旨で立案されたことは理解できるが、日のように「共同共謀正犯」の適用範囲が広い司法制度では、共謀が限りなく拡大解釈される懸念がある> いわゆる「共謀罪」の法案をめぐって賛否両論が激しく対立しています。この法案ですが、具体的な「共謀した罪」が設定されるというより、多くの犯罪について「どうしたら罪になるか?」という定義付けを変更しようというものだと理解できます。 現在の日の刑法の考え方では、犯罪の対象になるのは「実行」もしくは「未遂」ということになっています。未遂という言葉には「計画したができなかった」というニュアンスはあるものの、実際は「計画だけ」では犯罪にはなりません。必ず「着手したが完遂できなかった」事実が必要です。 これは単独犯の場合を考えると分かりやすいと言えます。「銀行強盗がしたい」と心の中で考えているだけなら未遂にはなりません。同じよう

    共謀が罪なら、忖度も罪なのか?
  • 日本の経済政策は、なぜ右派と左派でねじれているのか?

    では保守派がリベラルな経済政策を、左派が保守的な経済政策を志向する「ねじれ」がある Thomas Peter-REUTERS 前回のエントリ「なぜ日には『左派勢力の旗手』が出現しないのか?」には多くの反響をいただきました。その中であらためて考えさせられたのは、日では「右派がリベラルな経済政策」を取り、「左派が保守的な経済政策」を取っているという「経済政策のねじれ」です。 現在進行中のアベノミクスがいい例です。自国通貨の価値を毀損してまで流動性を供給するとか、公共投資を増やしてケインズ的な効果を狙うというのは、国際的な常識から見れば極めてリベラルな経済政策に属します。ですから、現在の安倍政権というのは政治的には保守ですが、経済政策は相当に左寄りだということが言えます。 反対に、「目先の景気よりも、中長期的な財政規律」を心配する態度であるとか、自国の通貨を防衛しようという立場、あるいは

    日本の経済政策は、なぜ右派と左派でねじれているのか?
    arakik10
    arakik10 2016/02/10
    政策の党派性を比較するときに「右派」「左派」ではなく「経済政策」「政治思想」「労働政策」みたいないくつかの軸を立ててマトリックスで理解しないと日本と外国を比べられないという話なのかな
  • なぜ日本には「左派勢力の旗手」が出現しないのか?

    今週のアイオワ党員集会では、自称「民主社会主義者」のサンダースがヒラリーに肉薄した Rick Wilking-REUTERS 各州の予備選が始まったアメリカの大統領選では、民主党のバーニー・サンダース候補に若者の支持が集まっています。今月1日のアイオワ党員集会では、盤石と言われたヒラリー・クリントン陣営に1%未満の差まで詰め寄る一方で、今月9日に予定されているニューハンプシャーの予備選では自身の選挙区バーモントの隣ということもあって、大差での1位が見込まれています。 このサンダースですが、60年代から「反戦・反格差」を主張として掲げており、自分は「民主的な社会主義者」という立場を一貫して通しています。さらに大統領選で「政治による革命を目指す」としています。政策としては「空前の大増税を行って富裕層の富を吐き出させ」、「スウェーデンや日のような政府一元化の健康保険制度」を導入、さらには「公立

    なぜ日本には「左派勢力の旗手」が出現しないのか?
    arakik10
    arakik10 2016/02/05
    「分かりやすい政策」では対処できないくらい現実が複雑化している部分はどうなんだろ
  • 日本で盛り上がる「反知性主義」論争への違和感

    の言論では「反知性主義」がイデオロギー批判の感情論として使われているのが目立つ(写真は昨年末の衆院選で選挙演説を聞く人たち) Yuya Shino-REUTERS 日で「反知性主義」という言葉が流行していることも、また、その言葉の使い方について論争があることも承知していました。ですが、その議論の全体に「どこかピンと来ない」感じがあって論評を控えていました。年末に差し掛かるこの時期になって、一部のメディアで「今年の流行語」として取り上げられるなど、さらに多くの議論を呼んでいるようですので、私なりに整理してみたいと思います。 そもそも「反知性主義」という言葉については、例えば森あんり氏が、著書『反知性主義―アメリカが生んだ「熱病」の正体―』で取り上げたように、アメリカ家であって、特にアメリカのプロテスタンティズムが持っている「アンチ・エリート」の伝統を指した言葉という理解があります

    日本で盛り上がる「反知性主義」論争への違和感
  • 安倍首相の米議会演説は日米関係の「現状維持」を確認しただけ

    今回の安倍晋三首相の演説ですが、上下両院の合同会議ということで毎年始めに大統領が行う年頭一般教書演説と同じスタイルで行われ、外交儀礼としては格式のあるものであったと思います。首相も相当に準備して臨んだということをうかがわせる演説でしたが、内容に関しては、全体的に「現状維持」という色彩が強く、新鮮味はありませんでした。 まず、第2次大戦メモリアルに献花をしたことを述べて戦没した若き米兵たちに追悼の意を表明したこと、硫黄島の戦いの当事者双方を代表する形で、スノーデン氏という米軍の元中隊長と、日側の栗林忠道大将の孫である新藤義孝議員に握手をさせたというのは演出としては悪くなかったと思います。 ですが、この硫黄島での和解と友情のストーリーをもって、戦争和解の全体に拡大するのは無理があると思います。要するに「思い切り戦ったからこそ今の友情がある」というのですが、そこには「戦いに至った」ことへの反省

    安倍首相の米議会演説は日米関係の「現状維持」を確認しただけ
    arakik10
    arakik10 2015/05/11
  • 三原議員「八紘一宇」発言は笑えない問題

    3月16日の参議院予算委で、与党議員として内閣に対する質問を行った自民党の三原じゅん子議員は「八紘一宇」という大戦中のスローガンを肯定的な意味で使用したばかりか、「日が建国以来、大切にしてきた価値観」という発言までしています。 すでにこのニュースには色々な論評がされていますが、念のため確認をしておきますと「八紘一宇」とは元来は日書紀の中で、神武東征伝説に関連付けて「日全国を1つに」というニュアンスで登場した言葉です。それが、戦時中にはいわゆる「大東亜共栄圏」という構想と結びつけられて「全世界をひとつの家のようにする」という意味に拡大されています。これでは日軍の侵略のスローガンだとされても仕方がありません。 三原議員の発言ですが、話題としては大企業が「タックスヘイブン」、つまり租税回避地を使って「節税」をする問題を批判する文脈で飛び出したようです。「八紘一宇の理念の下に、税の仕組みを

    三原議員「八紘一宇」発言は笑えない問題
    arakik10
    arakik10 2015/03/20
  • 安倍首相の米議会演説に期待できる内容とは?

    今年「戦後70年」の節目にあたって、安倍首相がアメリカに対してメッセージを出すなら、5月25日の「メモリアルデー」に真珠湾内の「アリゾナ記念館」で献花を行うのが最も効果的、という私の主張に変わりありません。 ですが次善の策として、もし米議会で首相が演説するのであれば、それはそれで大きな意味を持ってくるでしょう。ですが、追悼のセレモニーにおけるスピーチと、議会での演説とでは意味合いもボリュームも変わってきます。 かなり注意して演説を組み立てないと、好印象を与えるのは難しいと思います。 まず議会では、歴史認識の変更は不可能だと思います。村山談話や河野談話を継承するのは前提として、それでも「日国内で言っていることとは違う」から「二枚舌ではないのか?」という批判は、議会関係者からもメディアからも出るでしょう。それも含めて、ここでの選択の余地はほとんどありません。 軍事外交を通じたテロ対策に関して

    安倍首相の米議会演説に期待できる内容とは?
    arakik10
    arakik10 2015/03/11
  • アベノミクスの「賛否」という不毛な議論

    の総選挙にあたって「アベノミクスへの賛否」という議論があるようです。確かに過度の円安にはマイナス効果があるでしょうし、株高を演出したといっても日の場合は年金やファンドを通じて国民全体が株高の恩恵を受ける構造になって「いない」以上は、株高だけでは格差が拡大するだけという批判は出てきてしまうわけです。 ですが、いくら選挙だからといって、現時点で「アベノミクスが悪かったのだから、円高と株安に振って元に戻せばいい」という議論にはほとんど意味はないように思います。というのは、元に戻すのは不可能だからです。 一方で、今年2014年に関して4~6月期の GDPが消費税アップの反動で「マイナス7・1%」、そして7~9月期に関しては、修正後の数値は「マイナス1・9%」(いずれも年率換算)というように、GDPとしてはかなり悪い数字が出てきています。 これはアベノミクスの「悪影響」ではないのでしょうか?

    アベノミクスの「賛否」という不毛な議論
    arakik10
    arakik10 2014/12/10
    アベノミクスは結局「お金を大量に刷る」ことはしたけれど、「成長戦略」に関して自民党的なアンシャンレジームのくびきを破壊できていないし、野党も対抗できる大きなビジョンを持ちえていない…でいいのかな?
  • 愛国歴史教育に対する「米高校生の異議申し立て」が勝利した日

    最近の各国の保守主義の運動には「自国の歴史に誇りを持てるような教育」へと、歴史教育を改変するという志向があります。アメリカも例外ではありません。例えばブッシュ時代の「草の根保守」の復権を契機として、ハッキリとそうした運動が立ち上がっています。 そのリーダー格といえば、リン・チェイニー氏です。チェイニー前副大統領の夫人ですが、歴史家というより文学者という立場で「愛国歴史教育」を推進していたのです。 チェイニー氏はまず「建国の歴史」に関して「トーマス・ジェファーソンの理想主義とか、権力への牽制」といったエピソードではなく、「独立戦争の苦しい戦いを勝利に導いたワシントンの勇気」を前面に出して教えよとか、ベトナムや公民権の話ばかり教えるのはバランスを欠くなどという主張を「運動」にしたのです。 更にチェイニー氏の前にフランシス・フィッツジェラルドというジャーナリストは79年に出した『アメリカ史の改善

    愛国歴史教育に対する「米高校生の異議申し立て」が勝利した日
    arakik10
    arakik10 2014/10/17
  • ウクライナ問題、「苦しいのは実はプーチン」ではないか?

    ウクライナでは、クリミア半島にロシア軍が展開する中で、ウクライナ軍との睨み合いが続いています。一方で、アメリカやEUの行動には毅然とした姿勢が見られずプーチンが「やりたい放題」のようにも見えます。 ですが、週明けの情勢を分析してみると、その奥には「プーチンのロシア」の苦境がチラチラと姿を見せている、今回はその辺をお話しようと思います。 まず、プーチンの行動ですが、クリミアが欲しいとか、東ウクライナがどうとか、あるいはウクライナを丸ごと「ユーラシア連合入り」させたいなどというのは、全て求心力維持のためのポーズだと思います。2~3月にかけての彼の一連の行動の動機は別にあり、その正体を見せてしまうと権威が失墜してしまうので、「強がる」ために軍隊を見せて領土がどうとか、戦争がどうという「イメージ」を流させているだけです。 実はプーチンは困っているのです。というのはウクライナでは金融危機が再燃してい

    ウクライナ問題、「苦しいのは実はプーチン」ではないか?
    arakik10
    arakik10 2014/03/07
    "ここは堅気の出る幕ではありません"(p.3)
  • 『永遠の0』の何が問題なのか?

    先月に一時帰国した際、評判の映画『永遠の0』を観ました。また、小説も評判であるというのでこちらも読みました。どちらもプロの仕事であると思います。技術的に言えば、ストーリー・テリング(物語の展開)だけでなく、セッティングやキャラクターの造形、そして何よりも時空を超えた大勢のキャラクターが、物語の進行とともに「変化していく」効果が見事です。 キャラクターの「変化」というのは、「成長」したり「相互に和解」したり、あるいはキャラクターに「秘められていた謎」が明かされたりしてゆくという意味です。そうした効果を、時空を超えた複数のキャラクターを使って、しかも2000年代と第二次大戦期という2つの時間軸の中で実現している、そのテクニカルな達成はハイレベルだと思います。 更に言えば、老若男女の広範な層にまたがる読者あるいは観客は、多くのキャラクターの中から自分の感情を投影する対象を見出すことができるように

    『永遠の0』の何が問題なのか?
    arakik10
    arakik10 2014/02/06
  • 都知事選の示す深刻な「東京病」に処方箋はあるのか?

    政策提案があり、対立軸があって、候補者の実務能力のチェックがあってという「リーダー直接選挙」に欠かせない「中身」が、東京都知事選では十分な「選択肢」として出てきていません。いわば首長選挙として必要な条件が欠けたまま進行しているように見えます。 まず政策提案ですが、東京の抱える大きな問題について今回の選挙で争点化ができていません。一極集中の問題、やがて訪れる膨大な単身高齢者を抱える「無縁都市化」の問題、インフラ更新の必要性、国際都市に脱皮するための政策など、具体論に入って行けば争点はいくらでも出てきます。 例えば、都市全体として24時間化を進めるのが良いのかという議論がありますが、24時間化がいいのか、いや24時間化というのは都市の労働環境や子育て環境としてはブラックだからダメだなどという議論も必要でしょう。24時間化の経済効果と治安維持コストの比較も必要です。 インフラ更新の問題に関しては

    arakik10
    arakik10 2014/01/19