ロボット義足。各種センサーで状況を把握し、マイコンで動きを制御する。それはウエアラブル・コンピューターの1つの進化の形である。そのロボット義足の世界的な研究者、ソニーコンピューターサイエンス研究所の遠藤謙氏が義足の研究を始めたのは、友人が骨肉腫になって足を失ったことがきっかけだった。「かわいそうだなと思いました。ロボット技術を使って義足を作れないだろうかと思ったんです」。 そんなとき出会ったのがMIT(マサチューセッツ工科大学)メディアラボのヒュー・ハー教授だった。同教授は10代のときにアイスクライミングで凍傷にかかりひざ下を失ったことから、自ら義足の研究を始めた人物。同教授の研究に感銘を受けた遠藤氏はMITに2005年に留学し、同教授の下で義足の研究に携わった。2012年には、博士号を取得。MITが出版する科学雑誌Technology Reviewが選ぶ35才以下のイノベータ35人(TR