娘がお腹の中にいた頃、当時3歳だった長男に、生まれてくる赤ちゃんはどんな名前にしようかねえと聞いた。長男は少し考えて、「いい夢をたくさん見るように、″夢見″がいい」と言った。夢見。とても素敵な名前だ。兄となる幼い長男がまだ見ぬ妹に、いい夢をたくさん見て欲しいと願う優しい気持ちを持っていることにぐっときた。しかし一方で大人になると夢ばかり見てるわけにもいかない事情も少なからず出てくるもの。地に足をつけることも忘れないでいてほしいという思いもあり、″夢見″は娘の、胎児のときだけの呼び名になった。 あれから8年、かつて夢見と呼ばれた少女は、自分がそう呼ばれていたことを知ってか知らずか、その名に恥じることなく立派にメルヘンの中で生きている。趣味は読書と鼻歌、将来の夢はパティシエ、休みの度に森に行きたがる(動物達に会えるから)。たまに魔法を使う練習をする。きっと好きだろうと、名作『サウンドオブミュー