10月7日に中国が、尖閣海域日本領海で中国漁船衝突事件を起こし、さらに尖閣諸島領有権を主張したことに関連して、尖閣諸島周辺海域の石油埋蔵量に強い関心が広がっている。 その内容は、「尖閣列島周辺海域には、世界第二位のイラク並みの1000億バレルを超す石油埋蔵量がある」との報道が殆どであり、これを正しいと思う国民が増えているようである。 しかし、この埋蔵量推定は1970年ころのものであり、その後の調査技術の進歩と詳細な調査の結果、1994年時点での日本政府の公表では、日中中間線より日本側海域での究極可採埋蔵量は32.6億バーレル(5.18億キロリットル)で、1970年時の30分の1である。 なぜ、こんなに違うのか、歴史的に追ってみよう。 1970年簡易調査法による埋蔵量評価 1968年、国連・アジア極東経済委員会(ECAFE)が東シナ海で海底調査を行い、1969年に出されたその報告「
天然資源(自然に存在するエネルギー資源)の生産において、EPR(エネルギー利益率)とエントロピー(熱と物の拡散の程度を表す物理量)の双方について評価することが重要である。 EPR=自然から取り出すエネルギー(出力)÷取り出すために必要なエネルギー(入力)で定義される。EPRの値は、入力の方法や工夫によって大きくすることができる。 エントロピーとは「自然の状態では、熱は高温から低温に向かって流れ、物質は拡散していく」という現象を、‘エントロピーが増大する’として表す物理量である。よって、仕事(エネルギー)の適当な与え方によって、低温の熱を高温にしたり、拡散した物質を濃縮する、すなわちエントロピーを低減して、エネルギーや資源としての使用価値を高めることができる。 生産によって‘EPRの大きさ’と‘エントロピーの小ささ’がともに十分なモノは、安くて使い勝手が良い。しかし、通常の入力ではEPR
福島の原発事故のすぐ後に私は、『原発をとめねばならない』と題する記事を書いた。福島の事故から、地震や津波によらずとも石油減耗が進むや原発の維持管理が困難になり、日本中を放射能まみれにする原発事故が発生するであろうことを連想・予見したからである。 本稿は、Dmitry Orlov氏のブログCLUBORLOV 2012年4月24日付けの記事Fundraising in Extremisを訳したものだが、彼もまた原発事故の発生を予見して、辛辣なジョークを交えながら、私たちの置かれた苦境を指摘し、一縷の望みをかけている。 Chen Wenling Catch of the Day 昨日にも取り組み始めている必要がある重要な事業がいくつかある。というのは、それらの事業が人類の存続にとって鍵となるからだ。だが、不幸にも、マネーを投資する唯一の目的がさらなるマネーをつくり出すことだと命じる市場経済と国
メタンハイドレートとは 普通の天然ガス田と違い掘削しても自然に噴出しない。固体のメタンと水の水和物、メタンを中心に周囲を水分子が囲んだ形に、包接水和物は低温かつ高圧の条件下で、水分子は立体の網状構造を作り、内部の隙間にメタン分子が入り込み氷状の結晶になっている。これは固体で、火をつけるとメタンが分離するので燃える。このために「燃える氷」とも言われる。この水和物1 m3を1気圧の状態で解凍すると164 m3のメタンガスを得る。分子式は CH4•5.75H2O、密度は0.91 g/cm3である。 話題のメタンハイドレートとは、日本列島の周辺海底下、堆積地層内有機物の分解で生じたと推定されるメタンが固体の水和物として広く分散して存在する。この水和物は低温、高圧で安定する。 シベリア、カナダなどは低温なので地表近くに存在する。一方日本では水深新1km程度の深さの海底下、地層内に分布している。四
石油は、主として藻類がオリジンであって、それが特別の地質環境下で地質的な長い時間かけて熟成し、濃集したものである。2006年に世界が石油ピーク(プラトー状態)を迎え、数年後には石油減耗のステージなると、現在の経済規模に対して加速的に石油不足になっていくこと間違いない。そこで藻類から人工環境下で、石油を超スピード促成させようとの研究が広がっているが、安い石油が得られるのであろうか。 ポトリオコッカス藻の光合成石油の非採算 最近まで、ポトリオコッカス藻の石油生成が研究され、経済性の評価がなされてきた。 ポトリオコッカス藻は光合成で石油生成されるが、培養速度が遅く生産コストが800円/㍑、 即ち、1バーレル当たりの生産コストが13万円近くかかる。これに事業的諸経費、クラッキング(精製)コスト等を加えると、おおむね30万円/バレル=3,000ドル/バレルであろう。結局、天然石油代替として事
原発を動かしているエネルギー は何か 原子力発電は、石油、石炭、天然ガス、電力のエネルギーが揃って初めて成立するビッグシステムである。通常、原発とは、ウラン235の崩壊熱による高温水蒸気がタービンを回して発電する、化石燃料の代替エネルギーのように思われているが、あるいは思わせようとしているが、これは誤りである。 天野治氏によると(日本原子力学会誌、Vol.48,No.10(2006))、100万kWの原子力発電所建設に要するエネルギー(単位:Tcal)は、合計967.4で、内訳は電力209.6、石炭625.5、石油132.4としている。これには建設資材の製造、プラント建設、輸送のすべてが含まれている。なお、電力の製造には、国によって異なるが、米国などでは安価な国内石炭火力が多用されている。 石油が使えなくなったら、他のエネルギーで代替できるかどうか 原発建設の主な資材の製造に必
第百七十八回国会における野田内閣総理大臣所信表明演説(平成23年9月13日)において、次のような施政方針が語られた。 「原子力発電について、「脱原発」と「推進」という二項対立で捉えるのは不毛です。中長期的には、原発への依存度を可能な限り引き下げていく、という方向性を目指すべきです。同時に、安全性を徹底的に検証・確認された原発については、地元自治体との信頼関係を構築することを大前提として、定期検査後の再稼働を進めます。」(http://www.kantei.go.jp/jp/noda/statement/201109/13syosin.html) この施政方針内容は1 1 月1 5 日に開催された(社)日本経済団体連合会の理事会で承認された『エネルギー政策に関する第2次提言』に都合よく盛り込まれることになった。(http://www.keidanren.or.jp/japanese/pol
現在の世界同時不況はしばしば1930年代の世界恐慌を引き合いにして語られている。各国が輸出超過で自国の経済を豊かにしようとする貿易政策をとった挙げ句、為替の切り下げ競争を演じるに至るというパターンを繰り返しており、奇しくも覇権国家の凋落を背景にしている。 この世界的な経済の行き詰まりは、日本列島に生息するホモ・サピエンスが再び岐路に立たされることを予感させる。平成21年度の調査結果(1)によれば、埼玉、千葉、東京、神奈川、滋賀、愛知、沖縄と呼ばれるエリアを除いて、日本列島に生息するホモ・サピエンスの個体群の縮小が確認されている。日本列島のあちらこちらで環境収容力(Carrying Capacity)の制約が顕在化する事態を招いているわけだが、この道はいつか来た道ではないか。 顧みれば、1930年頃にも日本列島に生息するホモ・サピエンスの群れは環境収容力の制約に直面していた。イギリスの歴史
今の若者にはソビエトが崩壊した頃の記憶がない。ゆとり世代の受け身の姿勢はしばしば指示待ち状態などと言われるが、上位審級が規矩として機能しない時代に待ち状態でいるとしたならば、相当に拙いのではないか。せめてソビエト崩壊という出来事から未来を切り拓くための教訓を引き出しておいてはどうか。 ソビエト崩壊(1991年12月25日)に先立って、ソビエト国内の石油生産量は1987年頃にピークに達しており、また、ベルリンの壁が壊され(1989年11月10)、ルーマニアのチャウセスク政権が失墜するなど次々に東欧の共産党政府が打倒されていった。北朝鮮然り、キューバ然り、ソビエトは衛星国に構っていられなくなったわけだ。周辺の変化は未来を読み取るヒントを与えていたのだが、むしろ当時の日本人はバブル経済に現を抜かしていた。 あれから20年ほどの月日が流れて、私たちは明るい未来を想い描くことが難しくなっている。
エントロピーからの問題意識 最近、海水中のウランを採集するための、実用的に極めて有望な捕集材が開発された、との報道(日経ビジネス2010/12/14 など)が目に付く。 海水中のウランは、海水1kgあたり3.3×10-9kgにまで拡散されている物質で、エントロピーが非常に高い状態にある。これをエントロピーの低い状態に、人工的に濃集して資源化するには、大量のエネルギー、あるいはお金が必要なではないかと考えるのが普通である。 膨大なエネルギーとお金をかけて、海水ウランを資源化し、電気エネルギーを得ようとしても、EPRは低いのではないか。海水ウラン利用が文明を支えるエネルギーの一部を担えるのは、安くて、EPRが高い場合だけであり、石油ピークが進行し高騰する時代に、海水ウランにそれが可能であろうか。 そのような問題意識で、海水ウランの研究者でない素人であるが、日経ビジネス2010/12/14 の日
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く