芸能活動開始から30年となる麻生久美子(45歳)。もともとアイドル志望だった彼女にとって、1998年公開の今村昌平監督作品『カンゾー先生』への出演で一気に注目を浴びたことが、俳優への道を歩む大きな後押しになったことは、知る人も多い。 その『カンゾー先生』より前の出演作である『猫の息子』(1997)で共演した藤竜也と、26年ぶりの再共演を果たした『高野豆腐店の春』が公開中だ。父娘の日常や、彼らを取り巻く人々との人間模様が広島・尾道で紡がれていく物語。 本作では、豆腐屋を営む職人かたぎの父・辰雄と、一人娘・春の親子役でがっつり組んだ。俳優として輝き続ける麻生が、こうして歩み続ける今を「巡り合わせでこの道に導かれたと思っている」「一番大切にしているのは人」と語った。 ――最初に脚本を読まれた時は、どんな印象でしたか? 麻生久美子(以下、麻生):スッと読めて、すごくシンプルで、そのシンプルさにまず